オークス

桜花賞で大外から唯一頭32.9の末脚でごぼう抜きしたリバティアイランドは驚愕の強さ。ただし道中まるで動かなかったようだし、同じ距離でもう一度やればかなり怪しい。しかし今回は一気に距離延長。新潟の31.4の衝撃を思い返しても溜めれば溜めるだけ弾けそうだし、距離が延びれば信頼度はぐっと上がりそう。

不安があるとすれば周囲の方か。まず鞍上。引退した福永祐一をして「日本競馬史上最高のジョッキー」と言わしめるほどの高い勝率・連対率・複勝率を誇る川田将雅だけど、条件の得意・不得意がはっきり分かれる騎手でもある。まず何より長距離が苦手。芝の通算勝率16.4%、直近5年は26.8%という驚異の数字に比べて、3000m以上では勝率3.8%しかない。そして東京が苦手。直近5年で東京以外の競馬場は(ほとんど騎乗していない函館と福島を除いて)すべて勝率20-40%台なのに、東京だけは勝率15.9%。重賞に限定すると9.1%にまで落ちる。東京でも短距離志向なのは明らかで、重賞では1400は勝率12.5%、1600は15.9%なのに、それより長い距離では5.9%しかない。東京2400ならマカヒキジェンティルドンナで大舞台でも勝ってるけど回収率は45%に留まっている。東京2400の川田は阪神とは別人と思ったほうが良い。そして中内田厩舎も距離延長が良くない。通算勝率17%超で短期間に多くのGI馬を育ててきたけど、いずれも早熟傾向で短距離志向。2200まではどの距離でも12-25%もの高い勝率をマークしているけど、2400になったとたん勝率5%の回収率8%。2500以上では17戦して未勝利。

厩舎や騎手がこれだけ短距離志向だと、リバティアイランドの走りにも多少影響は出るかもしれない。付け入る隙があるとすればそこか。

 

前走リバティアイランドを苦しめたコナコースト、ペリファーニア、ハーパーあたりは、高速馬場のマイルで高い適性を示した分、オークスで上積みはどうなんだろうか。特に外回りになって以降、桜花賞を先行して好走した馬はオークスでの信頼度が低い気がする。アパパネスティルインラブ桜花賞を先行して押し切ってオークスも勝ってるけど、オークスでは一転して後方から末脚を発揮しているように、もともと桜花賞からしっかりした差し脚で台頭してきた馬たちだったと思う。今年の桜花賞は内の先行有利の馬場だったので、そこでスピードで好走して評価を上げた馬よりも、敗退組の巻き返し、あるいは別路線組の方が面白いと思う。

 

本命はゴールデンハインド。リバティアイランド以外の馬には負けないのではないかと思っている。

前走フローラSがとにかく強かった。道中12.7に落として前半60.8から12.2-11.8-11.2-11.3-11.6のロングスパート。上がり34.1でまとめて後続を全く寄せ付けなかった。前半のペースが楽過ぎたということもないはずで、実際2-6番手で追いかけた馬は1番人気のソーダズリング以外すべて沈んで、追込み馬が上位に食い込んでいる。フローラSは基本的に追い込み馬が強いレースで、逃げ切りは30年ぶり。今年の東京は逃げ切りは多いけど、フローラSの週の東京芝の全11レースで逃げて連対したのはこの馬だけなので、馬場に大きく助けられたとも思えない。勝ち時計1.58.9も超優秀。3年前にこれより速い時計を出したウインマリリンは次走オークスでデアリングタクトを苦しめて2着に好走している。その3年前の東京と比べたら明らかに今年の方が時計がかかっていて、その中で1分58秒台を自力で出したのは極めて高く評価できる。

もともと逃げると連対率100%だったけど、2歳時と比べると明らかな成長が見て取れる。前走の追い切り時点で自己ベストを更新しつつ、馬体は10キロ増。そしてオークス一週前と当週の追い切りではさらに大きく自己ベストを更新。それでもなお今週も食いっぷりの良さがニュースになるくらい。これだけ成長著しいと、少し前の成績はもはや参考にならない。

ゴールドシップ産駒の牝馬はウインキートス、ユーバーレーベン、ウインマイティ―など東京中長距離戦に高い適性を示す馬ばかり。鞍上の菅原明良も重賞でどんどん実績を出している若手の注目株。大仕事をやってのけるならこういうタイプではなかろうか。今回もきっと逃げるだろう。大本命が後ろに控える中で道中ペースを急かしてくる馬が出てくる可能性も低い。リバティアイランドがもし仕掛けが遅れたら頭まであってもいいのでは。

 

 

◎ゴールデンハインド

○リバティアイランド

▲ミッキーゴージャス

 

◎○馬連一点勝負か、あるいはワイドでもその半分くらい付くようなのでワイド一点でもいいかも。もう少し考えます。

無理やり三連単で狙うなら、あまり人気していないミッキーゴージャスの底知れなさが不気味。これも短距離向きの安田厩舎だけど、ミッキーロケット×ミッキークイーンの血統で距離が持たないってこともないだろう。