ダービー

今年の皐月賞は道悪の影響が大きく出たレースだった。馬体が大きい馬はかなり不利。実際540キロのダノンタッチダウンは最下位に破れて、続くNHKマイルCではあっさり復活している。他にも今年の皐月賞出走馬は500キロ級の馬が多くて、そんな中でメンバー中3番目に軽かったが1着ソールオリエンス462キロ、その次が478キロの2着タスティエーラだった。

そしてそんな馬場にも拘わらず1000メートル通過は58.5。後半は62.1だから前後半で3.6秒もの差がついた。これは唯一の不良馬場開催だった89年のドクタースパートや12年のゴールドシップを超えて86年以降最大のペース配分差。それも1頭が大逃げしたとかではなく全体として速いペースを刻んでいて、結果的に上位はほぼ全部追い込み馬が占めた。最後の最後に末脚が切れたソールオリエンスの印象度は強かったけど、最後方で溜めて直線大外一気に賭けたこと、他馬と比べてかなり小柄で重馬場を苦にし無さそうなことを思えば、「馬場と展開が嵌った感」はやはり拭えない。

過去の例と照らし合わせるなら、ゴールドシップが勝った12年と似ている気がする。この年は内田博幸が4角で内を突いて「ワープ」した名レースだけど、あえてゴールドシップを視界に入れずにレース映像を眺めると、大外から他馬をごぼう抜きするワールドエースが今年のソールオリエンスと被って見える。そのワールドエースはダービーでも1番人気を背負ったものの高速決着で前を捕まえきれず4着までだった。今週の東京競馬場もその年に負けず劣らずの高速かつ前残りの馬場にように見える。ソールオリエンスの素質はワールドエースよりは上だと思うけど、人馬共にキャリアも少ないし、1.7倍もの人気が集中するなら他に穴馬を探したい。

 

その12年クラシック世代でダービーの栄冠を勝ち取ったのは、前潰れの皐月賞で唯一先行馬で3着に粘ったディープブリランテだった。今年で言えば2着のタスティエーラか。ただこれも上記のとおり馬体が軽めだし、父親譲りで無理の道悪巧者という可能性もある。共同通信杯で弾けなかった点、弥生賞皐月賞での4角から直線にかけてのスムーズなスピードの乗り方を見ても中山適性が非常に高そう。他にもっと穴っぽいのはいないだろか。

 

ダービーと言えば1枠1番が絶好枠。今年見事引き当てたベラジオオペラはどうだろう。

前潰れ展開の皐月賞で、4角で先行する4頭のうち早々と脱落して下がったのがこのベラジオオペラ。しかしよく見るとバテて下がったのではなく逆手前で突然ヨレてバランスを崩して立て直しに時間がかかったもの。その後そこからもう一度盛り返すような伸びを見せて最後は10着に健闘している。先行勢で好走したのはタスティエーラとこのベラジオオペラの2頭と評価すべきだろう。7枠15番という外からのスタートになったことで前目のポジションを積極的に取りに行ったけど、内が譲らない上に途中からタッチウッドもかかって絡んできて厳しすぎる展開だった。今回は一転して1枠1番。この馬の行き脚なら無理なく前目に付けられそうだし、溜めれば末脚を温存できるのもスプリングSで証明済み。サンデーサイレンス×エアデジャヴ―の血を引く良血馬で、近親エアシェイディエアスピネルはマイルから中長距離まで幅広くこなす血統背景だったので2400も特に不安はない。スプリングSで完封したメタルスピードは皐月賞でも4着に好走していて、もしベラジオオペラが皐月賞で後方待機を選んでいたらもっと上位の着順に来ていた可能性はかなり高い。能力的に引けは取らないと思う。

 

メンバーを見渡すと逃げ馬が結構多いんだけど、こういう時こそ誰かが先手を取ってしまうとペースが落ちるもの。最近でも逃げあるいは4角2番手から大穴が粘り込むケースは多い。粘り込みがあるとしたらパクスオトマニカはどうか。逃げたときは4戦3勝。ハイペースに巻き込まれた葉牡丹賞で6着に負けている以外は毎回強い競馬を見せていて、前走プリンシパルSでも少頭数で後続にマークされながらも上がりメンバー中2位の末脚を繰り出して直線差を広げながら快勝。単勝17番人気は舐められすぎでは。

 

 

◎ベラジオオペラ

○パクスオトマニカ

▲ソールオリエンス

△タスティエーラ

△スキルヴィング