皐月賞

毎日杯を見た時点で皐月賞の本命はメイショウタバルに決めていた。

当日は重馬場でこれ以外にも2つの逃げ切りがあったけど、逃げながら外に出して勝った馬もいたし、大外一気の追い込みが決まったレースもあったので、内に極端なグリーンベルトがあったようには思えない。1000の通過は59.6で、馬場を思えば遅すぎないペース。そこから12.0-11.6-10.9と加速して一気に後続を突き放し、最後も11.9で締めて最終的に6馬身もの差をつけた。2着ノーブルロジャーと3着べラジオボンド、4着ファーヴェントあたりも決して弱い馬ではないはずで、メイショウタバルが強すぎたレースに見えた。今年の時計がかかる阪神芝、しかも重馬場で走破時計1.46.0は素晴らしい。過去に1分46秒台前半以下で毎日杯を勝った馬はシャフリヤール、ブラストワンピース、アルアイン、キズナ、ディープスカイと全て3歳で主要GIを勝っている。

2走前のつばき賞も、ハナに立った後で2,3頭が無理やり絡んできて先頭が激しく入れ替わる厳しい展開。残り800から11.4-11.1-11.1というペースアップを強いられたものの、最後も11.8でまとめて結局後続を振り切った。その一つ前の未勝利戦を勝ち上がった時もそうだけど、この馬はマクるのが上手と言うか、コーナーを回るスピードが異様に速い。直線を向いた瞬間にはトップギアに入っていて一気に勝負を決めることができるという点で、往年の中山王者マツリダゴッホと似ている。あくまでこの馬自身にとっては普通のペースで回ってくるので、最後もうひと頑張りする余力を残している。これでは後続は太刀打ちできない。

ゴールドシップ×フレンチデピュティという血統も面白い。32秒台のキレ味はなくても末脚の持続力でレースを支配して暴力的に勝てる血脈。デビューから2戦負け続けた馬が、一戦ごとに毎回パフォーマンスを大きく上げてきた点も魅力。まさに今が成長途上で、更なる上積みも十分見込める。一週前にはCW6ハロン78.5と快時計をマーク。今年のパッとしない3歳牡馬戦線でこれを上回る馬が果たしているだろうか。

土曜の競馬があまりにも内の前が残り過ぎたのでGI本番でマークが厳しくなりすぎないかが心配だけど、今年の皐月賞はこれと心中したい。

 

 

共同通信杯を無敗で勝ったジャスティンミラノはまだ底知れなさを残しているけど、東京の超スロー2戦しか経験していないのでやはり信頼度に欠ける。これまでに皐月賞で勝ち負けした共同通信杯組はもっといろんなレースパターンでの実績があった。この馬はそれがなかったダノンベルーガに少し似ている。

2着ジャンタルマンタルも堅実だけど、朝日杯は相手と展開にかなり恵まれた印象の方が強い。時計を見てもタガノエルピーダを物差しにしても、阪神JFの方がハイレベルだったと思う。

レガレイラのホープフルSも最後鮮やかすぎて展開がハマった感がある。勝ち時計2.00.2はGI昇格以降最速だけど、昨年末の中山は例年と比べて時計がかなり速かった。前週の古馬1勝クラスでもほぼ同じペースで1.59.9が出ているので、クラシック戦線のど真ん中としてはむしろやや物足りないくらい。GIで人気を背負うにはレースぶりが粗削りすぎるので、馬券的にはいっそ消した方が面白そう。

ホープフルS組では前で鋭く抜け出したシンエンペラーの方に魅力を感じるけど、弥生賞の敗戦で勢いが落ちた。かといって大きく人気を下げたわけでもないので食指が動かない。

 

どうせ粗削りならサンライズアースの方が面白いと思う。すみれSの2.12.0はかなりの好時計。それも前半スローからしびれを切らして一気にまくって他馬を一蹴してみせた。ラスト1000から阪神内回りをマクる間に11秒台前半の相当速い脚を3ハロンに渡って使っていて、それでいて最後2ハロンも11.8-12.0と脚色衰えずにゴールしている。今回人気と実力が一番乖離しているのはこの馬ではなかろうか。今回も出遅れそうだけど、揉まれない外枠だし、1角までの距離が長い中山2000ならデムーロはそこそこ好位に付けてくると思う。GI特有のロングスパート戦に適性がありそう。

最内サンライズジパングが一番よくわからん。ダートでフォーエバーヤング相手に好走したと思ったら次は大敗したり、ホープフルSでは何度も不利を受けながらしぶとく好走したり、若駒Sも馬場を苦にして大敗かと思ったらエンジンかかると楽勝。あまり競馬が巧いタイプではなくてあてにしにくいけど、追い切りでは動くし身体能力は高そうなのと、右回りでは崩れていないこと、そして最内の菅原明良を警戒して押さえる。大阪杯はこいつにしてやられた。

 

◎メイショウタバル

○サンライズアース

▲サンライズジパング

 

◎頭固定として、ヒモはもう少し広げるかも。買い方が難しいな。

それにしても今週の訃報はショックでした。ご冥福をお祈りします。

 

 

桜花賞

先週の大阪杯はステラヴェローチェもう少し何とかならんかったんか・・・。スタートで遅れて道中ではかかって前残り展開を外から追い込んで0.1秒差4着。3着でも1年分、2着なら3年分は儲かってたんだけどなぁ。でも予想が惜しいのは調子が上がってきた証拠だと信じたい。

 

今週は桜花賞。臨戦過程がばらけていて判断が難しいけど、やはり阪神JFの上位3頭は時計も立派で地力を信頼しやすい。特に気になって眺めていたのは3着コラソンビート。鞍上は最後1ハロンで止まってしまったと言っていて確かにその通りだけど、個人的にはコーナーワークが気になった。4角を5番手で回った数字の記録とは裏腹に、直線入り口では外を回すうちに8番手まで下がっていて、差してきたアスコリピチェーノに先に行かれて必死に追いかける展開を強いられていた。せっかく先行していたのにその利をまるで生かせず、前がほぼ崩れる厳しい展開の中で差し脚を伸ばさねばならなかったのだから最後バテて当然。それまで4戦全て左回りだった経験値が出たのかもしれない。前走フィリーズレビューでは2着に敗れたけど最内を綺麗に回って好時計で2着。阪神JFで好走してトライアルで負けて桜花賞で評価を落とすというのはレッツゴードンキやレーヌミノル、古くはアローキャリーのようによくある穴パターンでもある。ぶっつけ本番で挑むアスコリピチェーノやステレンボッシュよりも買いたい、と思った。

 

しかし見返せば見返すほど、その前走フィリーズレビューでコラソンビートに土を付けたエトヴプレの強さが際立ってきた。勝ち時計1.20.1はこのレース歴代2位。歴代1位は22年サブライムアンセムの1.19.9。21年と23年にも1.20.7が2回出ているし、最近は阪急杯で1分19秒台も頻発するので、1.20.1という数字にさほどインパクトを感じなくなった人もいるかもしれない。しかし21年から23年にかけての3年間は、春の阪神競馬は相当な高速馬場だった。おそらく京都競馬場が改修中で阪神を酷使しないといけないので例年以上に芝の管理体制が良かったのだろう。一方で今年春の阪神芝は過去3年と比べれば明らかに遅い。1200の最速は古馬3勝クラス1.08.3。1600最速はチューリップ賞の1.33.1。1800の最速は古馬オープン1.45.4と実に平凡な数字。そんな中でエトヴプレだけが出色の1.20.1。時計が異常に速かった過去3年を除くと、フィリーズレビューの最速は1.21.0なのでエトヴプレの記録がいかに並外れているかが分かる。古馬まで含めても、エトヴプレより速い時計が春の阪神で出たのは、過去3年以外ではミッキーアイルが開幕週の阪急杯で記録した1.19.9ただ一度しかない。

そして驚異的なのは、エトヴプレは前半1000が56.4というハイペースを自ら作って、そのまま脚色衰えずに逃げ切っているということだ。ほぼ同じペースで流れたサブライムアンセムの1.19.9は典型的な前潰れ。今年阪神1400で2番目に速かった古馬3勝クラスの1.20.4でも、前半56.7から前潰れの追い込み決着になっていた。実際、フィリーズレビューでも2番手集団でエトヴプレを追いかけた3頭はすべて沈んで、着順表の一番下を独占している。その中の一頭は3番人気のシカゴスティング。この馬は同じく前潰れ展開だった阪神JFの先行勢でただ1頭掲示板に乗った実績がある堅実な馬なのに、フィリーズレビューではハイペースで完全に潰されてしまった。今年春の阪神は逃げ切りが多かったけど、その影響が特に出たのは次週以降雨が降ってから。フィリーズレビュー当日は芝5レースのうち逃げて馬券に絡んだのはエトヴプレしかいない。決して単純な高速前残り馬場に助けられてのものではなかったと思う。

エトヴプレ自身はそれまで1200しか経験がなく、先行策あるいは中段から堅実に末脚を伸ばしてくるタイプだった。しかし1400で圧巻のパフォーマンスを見た後で改めて1200での走りを見返すと距離不足に見えて仕方ない。父Too Darn Hotもマイルで活躍した馬だし、エトヴプレ自身1200から1400に伸ばしてあれだけパフォーマンスが上がったのだから、1600で期待しない理由はない。逃げなければだめというわけでは決してないので、陣営も逃げないことを前提に作戦を考えている。外目の枠から後発して3,4番手につけて回ってこれれば、今の阪神は大外一気の追い込みは難しそうだし、頭まで十分狙えるのではないか。

 

相手選びが難しい。前潰れのチューリップ賞で届いただけのスウィープフィートは消し。クイーンズウォークのクイーンC1.33.1も一見立派だけど、今年2月の府中は古馬1勝クラスで1.32.8、3歳未勝利で1.33.6が出ている。1400でも古馬2勝クラスで1.19.9や2000古馬オープンで1.57.2が飛び出るなど過去最速と言っていい馬場状態だったので額面通りには受け取れない。鞍上が怖いけど桜花賞は1枠の成績も良くないし、500キロを超えて桜花賞で馬券に絡んだ馬も過去にはいない。それよりは阪神JFの上位3頭と、2歳の時点で圧巻だった素質馬チェルヴィニアですかね。

 

◎エトヴプレ

○コラソンビート

▲チェルヴィニア

△アスコリピチェーノ

△ステレンボッシュ

 

◎頭固定三連単。あとは気性難ライトバックまで押さえるかどうか。

 

大阪杯

GIに格上げされて早8回目。今年は大物がみんなドバイに取られてしまって実質GIIみたいなメンバーだけど、最近は天皇賞ですら大物は2,3頭でそれ以外はGIII級だったりするので、それを思えば今年の大阪杯はGII級のメンバーがずらりと揃って馬券的にはなかなか面白い。1番人気が単勝5倍超。10番人気でも18倍台という数字が混沌を如実に示している。

GI昇格後の大阪杯勝ち馬を見返すと、キタサンブラック以外どうしても小物感があるけど、GIIで安定した成績は残せなくてもGI本番でハマれば勝ち切れるような勝負強い馬が多い気がする。あと気が付くのは1,2枠がほぼ馬券に絡んでいないこと、逃げや先行が強くて追い込みはほとんど届いていないことだろうか。そしてペルシアンナイトやダノンキングリー、ダノンザキッドあたりが好走して、マカヒキやサトノクラウン、サトノダイヤモンドやブラストワンピースやヴェルトライゼンデあたりが人気を裏切って飛んでいるあたり、求められる距離適性は2000よりも短めであることがわかる。スピードを活かして前目につけてそのまま押し切れる力が欲しい。

 

4歳世代は最後の頼みの綱のドゥレッツァが金鯱賞で完敗を喫して、世代としての弱さは最早疑いようもなくなってしまった。タスティエーラもここ2走は最後良く伸びているとはいえ勝負所の行きっぷりが悪い。ソールオリエンスも相変わらず追い込み一手。勝負が全部終わった後で伸びてきているだけの印象が強い。

一番素質を感じるのは5歳ローシャムパークだけど、函館記念とオールカマーを勝ってさあこれからと言うときに秋のGI戦線を全部見送って、香港Cではかかって惨敗という流れが悪い。今回はかからないように抑え気味に出るだろう。そうすると内枠で後方待機と言う大阪杯の負けパターンに陥ってしまう可能性が高いのでは。

3番人気プラダリアは堅実だけどピリッとした脚がなくて、2200以上のタフな長距離戦で浮上してくるタイプ。このレースに求められる適性とは違う気がする。3連勝中のミッキーゴージャスは小柄な牝馬で初の56キロ。これまで唯一の大敗が55キロのオークスだし、条件は厳しい。スタニングローズとジオグリフも復活の手応えは掴めていない。

 

本命はステラヴェローチェ。追い込み馬のイメージだったけど、1年半ぶりに復帰したマイル重賞で先行策を取って好走したのには驚かされた。デビュー2戦目で大外一気がハマって以来すっかり後方待機策が板についていたけど、もともとデビュー戦ではマイルでかかり気味に先行して勝ち切っていた。朝日杯ではレコードの前残り決着の中で唯一後方から0.1秒差まで詰めたように、短距離向きのスピードの持ち主。前走大阪城Sでもトップハンデ58.5キロを背負って3番手から抜け出す正攻法で久しぶりの勝利。並ばれてから抜かせない力強い走りだった。今回はCWの追い切りで自己ベストを大幅に更新して、本格的に復調気配。エフフォーリアとタイトルホルダーが同世代に生まれて朝日杯→クラシック三冠→有馬記念を2,3,3,4,4着とフル好走した実績が示す通り、大一番向きの実力の持ち主。後方策でGIで2,3着止まりだった馬が先行策で悲願の勝利というのは何度も繰り返されてきた競馬のお約束。単勝11倍台の人気は正直おいしくないけど、最近はみんな馬券上手なので逆らわない。連勝なら実質15倍台なので悪くない。

 

対抗はべラジオオペラ。ダービーでも本命に推したように、皐月賞の大敗は外からポジションを積極的に取りに行った結果他馬に絡まれたり、勝負所で逆手前でヨレているうちに外差しの流れに巻き込まれた結果で参考外。ダービーでは1枠1番だったのに後方に控えてしまって上がり最速でタイム差なしというもったいない結果に終わった。チャレンジCでは3歳馬ながら57キロを背負って古豪ポッケリーニを撃破。この世代としてはトップレベルの能力を持っている。一方で京都記念は後方で大事に乗りすぎてプラダリアを捕まえられず、最後はむしろ失速した。2200のタフな競馬は長すぎる。1800-2000がベストでまさに大阪杯向き。

 

 

あとは鞍上問題。有力ジョッキーがドバイに行っているので、普段のGIとは騎手のメンツが一味違う。

人気のローシャムパーク戸崎圭太とタスティエーラ松山弘平はリーディングでは上位だけど、戸崎は関西GIだと勝率は3.6%まで下がってしまい、1‐3番人気で( 0 2 0 8 )と信頼感に欠ける。松山もGIの大舞台は勝率3.2%。それもほぼデアリングタクトの実績なので回収率は23%しかない。

それに比べれば、リーディングでは目立たなくてもステラヴェローチェ酒井学とベラジオオペラ横山和生の方がやはり面白いと思う。

酒井学は芝重賞勝率4.4%だけど、回収率は134%でこれまで多くの穴を開けてきたベテラン。とはいえそれもほとんど人気薄にばかり乗っているためであって、1‐3番人気に乗っても( 5 4 2 9 )で勝率25%で回収率117%としっかり期待に応えられるタイプ。ハクサンムーンで何度もGIを賑わせたように思い切った先行策が取れる。

横山和生は芝重賞成績は勝率7.5%の回収率41%と決して良くないけど、これもほとんど人気薄に乗っているから。1-3番人気に限れば( 11 4 0 13 )で勝率39%、回収率166%としっかり結果を出すタイプ。大阪杯ではダノンザキッドで穴を開けた経験もある。

 

◎ステラヴェローチェ

○ベラジオオペラ

▲タスティエーラ

△ローシャムパーク

 

◎○馬連で勝負。50倍つかないのか。安いなー。でも逆らわない。

あとは▲△のどちらか一方を2,3着に加えた三連単。