中山牝馬Sとは中山記念と同コースで開催時期もほぼ同じだけど、レースの傾向は大きく異なる。最たる違いは脚質。中山牝馬Sで逃げ切りが起こるのはほぼ道悪の時だけで、それ以外では逃げはほぼ壊滅、先行勢も全然ダメで、圧倒的に差しが強い。中山1800は一般にかなり逃げやすいコースのはずだけど、残り1000から11.4のようなラップを刻むことがしばしばあってそうなると先行勢は息が入らず、最後の直線で泊まる。牝馬にとってはなかなか厳しい条件なのだと思う。
しかし今年の中山牝馬Sはメンバーが例年とは大違い。エリザベス女王杯に出ていても面白い馬が4,5頭いるし、さらにそれら以外の馬だけでも牝馬限定G3が成立しそうなくらい上がり馬も含めて層が厚い。そして逃げ馬候補の鞍上が武豊で、締まっても無理なペースにはならない可能性が高い。これなら例年とは違った傾向が出てくるかもしれない。
斤量面にも目を向けると、56キロ以上の重ハンデはここ15年ほどほとんど勝てておらず、直近では56キロ以上の1番人気が3年連続で連対を外している。しかし56キロ以上で人気を裏切った馬を見ていくと、その重量初体験という馬が多くて、逆にそれまで何度か経験している馬はそこそこ走っているように見える。00年代ではGI実績のある重ハンデ馬が人気を下げてここを勝つなどして、回収率はむしろ高かった。以前は牝馬が56キロを背負うのはエリザベス女王杯以外にはあまりなかったけど、最近は条件戦でも当たり前に背負わされることが増えた。今回も有力馬が軒並み重ハンデだけど、そのあたりの経験値が効いてくるかもしれない。
本命はニシノティアモ。喉鳴り手術から4連勝。いずれも圧倒的な強さで、ここ2戦では強豪牡馬も一蹴した。先行策から繰り出す勝負所での手応えと瞬発力が持ち味で、府中でもキレたけどその鋭さはむしろ小回りの中山でこそ活きるのではないかと思う。小柄で56キロは気になるけど、すでに2回経験済みで、いずれも全く気にするそぶりを見せない圧勝だった。今回は外枠だけど、エリカエクスプレスがハナに立つのを見ながら進められるという点では悪くない枠順。逃げ馬を目標に仕掛ければこの馬本来の力を発揮できそう。
パラディレーヌの56.5キロはいかにも重くて評価を下げる。エリカエクスプレスも56キロは初。強い馬だと思うけど、これまで逃げ馬がほぼ勝てていないこの条件で、ニシノティアモが早めに仕掛けてきたら、目標にされる不利の方が大きいかも。アンゴラブラックは堅実で56キロも克服済みだけど、近走は枠順や展開に恵まれすぎてきた気もする。今回は5枠10番で外から被される立場。後ろからの競馬になったとしたらこれまでとは違う立ち回りを迫られる。
やや穴で面白いのはフレミングフープか。前走小倉では内で立ち回る間に外差しの勢いに屈した。1800では2戦2勝でいずれも鋭いキレ味を見せており、あの脚を繰り出せればこのメンバーでも通用しそう。あとは先行勢でレーゼドラマ。このコースのフラワーCでパラディレーヌとジョスランに圧勝した実績がある。成績は安定していないけど、マイペースで先行できた時の勝ちっぷりは人気サイドに全く引けを取らないので侮れない。
中山巧者エセルフリーダも例年なら面白いと思うけど、ハイレベルな今年のメンバーで勝ち負けまで狙えるかというと難しいかも。重賞で差がない競馬を続けているビヨンドザヴァレーはちょっと枠が内過ぎたか。中山牝馬Sは1枠の成績が極端に悪い。狭いコースで外から殺到する分、立ち回りが難しい。
◎ニシノティアモ
○フレミングフープ
▲レーゼドラマ
△アンゴラブラック
△エリカエクスプレス