オークス

来週に迫った日本ダービーでは1枠の白帽が強いのは有名な話。過去10年では( 6 2 0 12 )という極端なほどの好成績を残していて、特にここ2年のワンアンドオンリーとサトノラーゼンは枠の恩恵をそのまま受けた一世一代の劇走だった。
今年も来週の今頃には枠順で頭を悩ますことになりそうだけど、不思議とオークスについては枠が云々という声はあまり聞こえてこない。たしかに過去のオークスを振り返っても特に枠の有利不利についてそれほど目立った傾向は見当たらない。牡馬GIでも通用する女傑から牝馬限定下級条件レベルまで出走馬の力の差がかなり大きいこと、桜花賞からの一気の距離延長、さらに連戦の体調管理や輸送の問題も牝馬の方が影響が出やすいことなどを考えれば、勝負の分かれ目は別のところにあって、枠の有利不利は相対的に影響度が小さいのかもしれない。
ただそれでも、どの牝馬も東京2400では慎重に乗ってくるので展開はほぼスロー確定だし、近年の馬場傾向を考えれば、オークスももっとトラックバイアスが出てしかるべきレースじゃないかと思う。前の週のヴィクトリアマイルと次の週のダービーであれだけ内有利が騒がれていて、オークスでは枠は関係ない、というのも不思議な気がする。特に今年はメジャーエンブレムとジュエラーの有力馬2頭が回避して押し出された人気構成。これなら穴は内に潜んでいるんじゃなかろうか。



本命は1枠1番のフロムマイハート。
ここまで9戦を消化していて出走馬中で最も豊富なキャリアを持っていて、スタートで後手を踏んで超スローで後ろから何もできずに終わった忘れな草賞の6着を除けば全て掲示板に乗っている。ほかに連対を外したのは1分36秒台の決着になったデビュー戦の中京マイルと、稍重で上がりのかかる展開になった阪神と小倉の2000。それ以外の5戦は軽い芝で先行して( 2 3 0 0 )というかなりの好成績を残していて、時計の速い馬場では全く崩れない堅実さを示している。
連対を外した500万条件の2戦も、サトノダイヤモンドやマウントロブソンらの一線級牡馬に突き放されただけで、クィーンズベスト、ナムラシングン、マイネルハニー、ノーブルマーズ、アグネスフォルテあたりとは差のない競馬をしていて全く悲観する内容ではなかった。今年のオークス出走馬で2000以上でこのクラスの牡馬たちと互角に渡り合った実績のある馬はいない。
忘れな草賞こそスタートで挟まれて遅れたけど、それ以外では毎回好スタートを決めて好位を確保していて、スローでも隣にかかった馬がいてもピタッと折り合う見事なレースセンスの持ち主。展開さえ落ち着けば先行して33秒台で上がれるのがこの馬の最大の武器。未勝利や500万条件では先行策からメンバー中上がり1位、3位の末脚を繰り出して後続を突き放して圧勝していて、抜け出してもソラを使わず最後まで真面目に走るというのも大きい。シクラメン賞でもそこそこの牡馬相手に末脚勝負で互角の走りを見せていて、直線入り口で交わされてから長い直線で差し返す持続力と叩き合う根性も見せた。
前走のオークストライアル・スイートピーSでは内から一気に抜け出して勝つかという見せ場を作って最後ギリギリ捕まっての2着。初めての輸送競馬でマイナス12キロという厳しい条件の中であれだけ走れたのは上出来だろう。今週の調教後の馬体重を見るとすっかり回復したようだし、追い切りでも馬なりで好時計を記録。2度目の輸送なら次はもっといい体調で臨めるに違いない。1800のスローだと直線でもっとキレる馬に捕まるのは仕方のないところ。距離が伸びるほど成績の上がるハーツクライ産駒だし、2400でも先行して速い上がりを繰り出せるようなら、他の末脚が鈍る分、今度は捕まらない可能性を秘めている。
スイートピーS組、しかもその2着馬なんてオークスで来た例があるのかと思ってしまいそうだけど、実際に過去に1度だけその臨戦過程から馬券に絡んだケースがあって、それは07年3着のラブカーナ。この年は桜花賞1番人気ウオッカと桜花賞1着ダイワスカーレットの2強がともにオークスを回避した年でもあって、今年の戦況とよく似ている。そういえばラブカーナも豊富なキャリアと距離実績を武器に大舞台で一変した馬だった。今年のフロムマイハートも展開次第で馬券に絡んでくる可能性は十分あると思う。
鞍上の石橋脩も今年は重賞では伏兵にしか乗るチャンスがないのに2勝2着2回と絶好調。石橋脩の1枠1番で単勝万馬券級の先行馬と言えば、あのビートブラックの大金星を思い出さずにはいられない。馬連・三連複の軸だけど、頭の馬券も買っておきたい。


◎フロムマイハート
○エンジェルフェイス
▲シンハライト
△チェッキーノ
△ペプチドサドル
△アットザシーサイド


相手には、展開を作る逃げ馬、桜花賞上位馬、トライアル圧勝の上がり馬、ほかの内枠の伏兵あたりまで揃えておけば足りるんじゃなかろうか。