CBC賞

凄いハンデが設定されてしまったようだ。


夏の2歳馬デビューの時期を迎えると、それと同時に本格的に3歳馬が古馬と対戦する機会を得るようになる。6〜8月の期間は、スプリント戦では3歳馬は大体3㌔の斤量差を与えられる。たまに4㌔だったり長距離だと変わったりするようだが、詳しい決定方法はよくわからない。
この時期のスプリント戦について調べてみると、6月の時点ではかなり3歳馬の戦績がいい。古馬との初対戦で斤量が軽くなった3歳馬は、とにかくベタ買いするだけでも儲かる。7月、8月でもまだ3歳馬の方が有利なのだが、この時期になると「今年の3歳は強い」と毎年のように言われるためオッズがつかなくなり、当たっても儲からない。そのため、6月の早い時期から3歳馬に狙いをつけるのが先手必勝の鉄則でもある。


だが今年は、まだ中京開催が終わらないうちから、ウインレジェンドが果敢に古馬重賞に挑戦してきた。それも51㌔である。同じオープン勝ちの実績を持つ古馬ワイルドシャウトと比べても5㌔差。トップハンデのシーイズトウショウとは実質8㌔の差があることになる。ここまでやっちゃっていいのか?



ウインレジェンドは競馬場で異常にテンションが高まってしまう荒い気性の問題児だが、能力は確実にサニングデール以上のものを持っている。年末に瀬戸口厩舎の事情で使い詰めにされてきたが、放牧を挟んで4月に復帰してから、いよいよ本格化してきた。
復帰戦の阪神1400㍍でメイショウゲンジに4馬身の差をつけて圧勝。勝ちタイム1.21.9は、前日の阪神牝馬Sのエアメサイアの1馬身後ろに相当する。もっとも阪神牝馬S当日はかなり強風だったためタイムはあてにできないんだが、同日の桜花賞1.34.6と比較しても相当優秀な数字だ。しかもあの楽勝ぶりならまだまだ時計は詰まる。
橘Sは実力とは関係ないところで取りこぼしてしまったが、気を引き締め直した葵Sでは再び軽々と4馬身差の圧勝。ラスト3ハロンのラップは11.3-11.8-11.3。これで最後は流していたのだから恐れ入る。気性さえまともなら、もっと距離が伸びてもいけるだろう。


気性難が影響して短距離路線に在籍してはいるが、もともとこんなところで燻っている素材ではないのだ。NHKマイルCでも勝ち負けしたはずだし、母の活躍を考えればクラシックに行っても良かった。
そんな実力馬が、「準オープンさえ勝てば即、重賞で通用する」という超低レベルの古馬スプリント重賞に出てきたのだ。それも5㌔ものハンデをもらって、51㌔で出走してくるのである。まともに走れば2馬身くらいはちぎると思う。


問題はその「まともに走れるかどうか」であって、これまでの3勝は全て大外枠で発走した時のものに限られている。今の中京の馬場を考えても何とかして外枠が欲しかったのだが、残念ながら2枠3番を引いてしまった。ギャラントアロー、テイエムチュラサンに外から被せられたときにどうなるか不安ではある。信頼の置ける本命馬ではない。
でもレースぶりそのものはそれほど破天荒でもないので、ギャラントやテイエムが作る速い流れに上手く乗れる可能性も十分あると思う。そういう意味では古馬との対戦はむしろ歓迎材料かもしれない。


何にせよ、これほど才能溢れる3歳馬が、これほど低レベルな古馬重賞に挑戦し、これほど大きなハンデをもらえる、という事態はちょっと記憶にない。期待の意味も込めてウインレジェンドから入ろうと思う。




相手で一番おいしそうなのは53㌔のカネツテンビーなのだが、ここ2戦はまるで見所がなかった。もともと春〜夏は毎年成績の振るわない馬なのでここも期待度は薄いか。冬まで待つべきかもしれない。
普通に有力なのはアグネスラズベリ。
あとはハイペースが合いそうなリミットレスビッドあたりだろうか。



◎ウインレジェンド
○アグネスラズベリ
▲リミットレスビッド
△カネツテンビー