菊花賞

ダノンプレミアム、ワグネリアン菊花賞どころか天皇賞も回避してしまうほど体調が整っていない様子。サンリヴァルもキタノコマンドールもダービー以来1戦も走っていないし、ダービー波乱の立役者コズミックフォースも前走まるで見せ場なし。春に活躍した馬はあまり流れが良くないように見える。 

皐月賞エポカドーロも秋初戦は発馬で躓いて期待を裏切った。差す競馬でも4着まで追い上げたのはさすがの能力と言えるけど、上位とは差があった。逃げなかったデビュー戦は雑魚相手に取りこぼしているし、あくまで逃げないと全力を出し切れないのかもしれない。皐月賞を勝ってもあまり人気せず、ダービー2着で株を上げた感じだけど、今年のダービーは高速馬場の前残りレースだったのであまり過信はしたくない。本質的には中距離馬ではないかとも思う。戸崎も関西重賞は苦手で、関東重賞ではどの競馬場でも回収率75-140%あたりなのに関西では30-50%台。力の抜けた馬でないと勝ち切れていない。

とはいえレース展開のカギを握るのはやはりエポカドーロ。スプリングS皐月賞ではともに逃げ馬を前に行かせて逃げ争いに巻き込まれるのを避けて、実質自分が逃げる状況を作ることで実力を存分に発揮した。戸崎はこの馬が気分良く走れれば直線勝負でも戦える脚があることを知っている。無理には前を追いかけず、後ろのエタリオウやブラストワンピースを警戒するに違いない。

しかしエポカドーロは春のデキにない可能性もあるし、距離不安の可能性もある。戸崎も淀長距離戦をこなす判断力に不安アリ。そうすると、前の馬があれよあれよという間に残る可能性があるんじゃなかろうか。

 

  

メイショウテッコンの前走神戸新聞杯はちょっと距離が長いと思っていたけど、終わってみれば驚くほど強い競馬だった。スタート後に左右から挟まれて下がってしまい1コーナーから強引に先手を奪う酷い展開。しかし直線を向いても後続を寄せ付けず、直線半ばでワグネリアンに並ばれてからもなお叩き合いに持ち込んで、終わってみれば着差はわずか0.1秒。驚異的な粘り腰を見せた。阪神2400の少頭数のスロー競馬なら本来差し馬の方が圧倒的に有利。あのレースであれだけの競馬ができれば、京都のフルゲートで戦えば神戸新聞杯組には負けないのでは。+14キロも成長分。京都新聞杯の時とは馬が違う。内枠が重要なこのレースで3枠6番と十分な枠を引きつつ、前に行きそうなアイトーン、ジェネラーレウーノ、エポカドーロが全部それより内に入ったのでこれらを見ながら行けるという、まさに絶好枠と言っても良さそう。

ジェネラーレウーノもダービーは案外の惨敗だったけどセントライト記念でさすがの実力を見せた。最後は止まっていたように中山向きの末脚という気はするけど、先行力を活かせるならここでも好勝負になる。

 

 

しかし本命はもっと前。最内アイトーンから狙いたい。

逃げたレースでは4戦3勝の好成績。唯一負けた皐月賞もスタートから出ムチを入れて押して押して先頭に立って、ジェネラーレウーノとかかり気味のジュンヴァルロにぴったりマークされたまま大逃げを打つ羽目になるというあまりにも厳しい展開。あれで2番手から0.6秒差3着に粘ったジェネラーレウーノが世代トップレベルの実力馬であるわけなので、それと比較しても、遥かに辛い展開で直線半ばまで粘っていたアイトーンの1.0秒差8着はもっと評価されていいと思う。

そして注目すべきは、皐月賞以外の逃げた3レースではいずれも上がり2位、2位、3位の末脚を披露して、後続との叩き合いを引き離すような形で完勝していること。すんなり逃がすとなかなか止まらない。若葉Sでそこそこの相手を全く寄せ付けずに完封しているし、福寿草特別で倒したドミナートゥスもその後崩れずに活躍している。

前走札幌記念は大外枠発走から押して先手を取りにいったものの、最内マルターズアポジーが譲るはずもなく、道悪の中を前半から34.4の脚を使ってしまって戦意喪失の最下位。先手を取ったマルターズアポジーネオリアリズムも完璧に沈んだレースだったので、逃げ潰れは度外視できる。16番人気で大差16着となったおかげで、今回も見事に人気がない。しかし今回は最内枠を引いて逃げ宣言を出しているし、他の先行馬はわりと人気しているのでアイトーンと競り合って潰れるよりは控える競馬を選ぶだろう。楽々ハナに立ちつつ、離れてメイショウテッコンとジェネラーレウーノが追いかけて、さらに離れてエポカドーロが追うような展開。この隊列ならチャンスがありそうな気がする。

鞍上の国分恭介は通算勝率4.0%、回収率67%と一見パッとしない成績だけど、これはシェア7割を占める差し・追い込み脚質でほとんど勝てていない(勝率1.7%、回収率35%)からであって、先行すれば勝率8.4%の回収率110%、逃げると勝率15%の回収率270%という数字を持っている。それも単勝万馬券のような極端なオッズで稼いだ数字ではなく、どの人気でもしっかり高い回収率を出していて信頼できる。しかし所詮、通算重賞2勝の無名騎手。国分が逃げても誰も追いかけない。今回その地味さがプラスに働くに違いない。

ビッグウィークや天皇賞・春ビートブラックイングランディーレのように、今や京都長距離戦の大穴逃げ切りは数年に一度起こる天災のようなものになったけど、そのはしりと言えるのは01年の太宰啓介マイネルデスポット。この馬もハナに立ったら2戦2勝でいずれも速い上がりで勝っていたにも拘わらず、直近のレースでは逃げることができていなかったため極端に人気を落としていた。まさにアイトーンと同じパターン。あのときはマンハッタンカフェという長距離スロー上がり勝負の天才が潜んでいたので最後ギリギリ捕まってしまったけど、今年のメンバーにそんな芸当が可能だろうか。

「バリバリ攻め馬に乗っているのに体重が予想より増えている」「最高の出来」という陣営の直前コメントも成長を感じさせる。菊花賞は体重が増えた馬が強い。頭まで期待したい。

 

 

◎アイトーン

○メイショウテッコン

▲ジェネラーレウーノ

△グロンディオーズ

 

 

ヒモは適当。グロンディオーズとグローリーヴェイズはどっちがどっちかわかりにくい。