ジャパンC

上の考察からまず3歳牝馬ビッシュが消える。最初は本命候補だった。シュヴァルグランもいらない。


今週は半世紀ぶりの11月の雪に見舞われた府中の芝がどういう馬場状態になるかが注目だった。特に内にキタサンブラックとゴールドアクターが入ったので、内の前が残る馬場なら逆らいにくいところだった。
土曜競馬、特にメインレースを見てると、結構時計がかかって外差しも十分届くと見るべきだろうか。そう思った途端に土曜最終は内の前だけで決まったので油断は禁物だけど、1400でかなりのスローだった。外に大きく広がった差し馬の末脚が重い芝で削がれる間に、前の馬が粘りこんだ印象。キレ味が活きる馬場ではないので短距離でスローになれば前の馬が残るだろうけど、2400になるとそうはいくまい。全GIの中でも逃げ切りは極めて難しいコース。この人気で前の2頭は買いにくい。サトノノブレスやアドマイヤデウスに詰め寄られた前走もどこまで評価してよいか疑問の余地は残ると思うし、逆らって差し馬を狙いたい。


3歳世代が強いと評判の年は、ジャパンCも有馬記念も3歳勢が連勝することが多い。その点でもディーマジェスティは有力だと思うけど、皐月賞、ダービーの爆発力に比べるとセントライト記念と菊花賞は内容がイマイチに映った。春のデキにはないとしたらこの大一番では信頼しにくい。
3歳春のクラシックで活躍した馬が秋になってその勢いを失うことは珍しくなくて、多くの場合、このシーズン中にすぐにその勢いを取り戻すことはないままジリジリと負け続ける。例外と言えばジャングルポケットくらいだと思うけど、あの時は府中替わりや鞍上交代などいろんな巻き返し要素があった。ディーマジェスティにそれほどの上がり目があるだろうか。


それよりはもう一頭の3歳馬レインボーラインに期待してみたい。
NHKマイルCやダービーあたりまでは精々「地味に健闘した」程度の印象だったけど、前残りの札幌記念では最後方からモーリスをクビ差まで追い詰める3着。菊花賞もサトノダイヤモンドに離されるもののよく伸びて2着と、ここに来て成長著しい。それも後方でジッとしたまま大外に持ち出す大味な乗り方での連続好走。さらに騎手が変わった今回、一気に飛躍する可能性は十分ある。
もともとデビュー当初は1800で先行して堅実な競馬をしていた馬で、マイルを使うようになって後方からの競馬を強いられるようになり、成績も不安定になってから福永へ乗り替わり、その後長距離路線へ転向するも消極的な後方脚質を続けてきたというのがここまでの経緯。その気になれば2400である程度のポジションがとれるんじゃなかろうか。
そういう意味でルメールへの乗り替わりには期待できる。デムーロと比べるとどうしても大一番で勝負弱いイメージが付いてしまったけど、来日初期に名を売ったのはハーツクライやリトルアマポーラの大一番での大金星。それまで日本人ジョッキーが追い込みしかさせていなかった馬を突然先行させて大本命馬を完封してみせた脚質転換が印象深かった。今夏ネオリアリズムで逃げて王者モーリスを振り切った札幌記念も記憶に新しい。
ステイゴールド産駒らしく小柄な馬で、57キロから55キロへ斤量が減るのも魅力。東京で戦うにはちょっとキレが足りないところもあるけど、その点で今の時計のかかる馬場も歓迎。去年ジャングルクルーズを無理やり本命に推した時にも考えたことだけど、近年のジャパンCはキレの足りない長距離馬でも、厳しい流れと東京の緩やかな坂、長い直線を利用して浮上してくることが多い。今回そのイメージに一番合うのがこの馬。


相手本線はリアルスティール。前走の2着で改めて高い能力を示した。ドゥラメンテもモーリスもいないところで一流ジョッキーが乗れば、古馬代表になれる地力を持っている。


冬に強いサウンズオブアースは休み明けを叩いて復調してきたようだし鞍上も怖い。しかし東京の長い直線での差し比べになるとちょっと買えない。馬場も本質的には軽いほうが合うと思う。
ルージュバックは地力的にはアンビシャスと同程度だろうから、前走を見てもリアルスティールよりは下の評価にせざるを得ない。内で良い位置を取れれば展開次第で一発もあるかもしれないけど、そんな器用な競馬ができるなら今頃もっと安定した成績を残していただろう。


◎レインボーライン
○リアルスティール


もう馬連一点で行くか。買い目はもう少し悩みたい。