高松宮記念

中京競馬場改修以降のこのレースは4角4番手以内の馬が( 3 1 3 14 )。差しで勝ったのはロードカナロア1頭だけで、4角10番手以下の馬は( 0 3 0 28 )とかなり苦戦している。改修以前は差しも十分届くレースだったはずなので大きく様変わりしてしまった。


この4年間の前後半3ハロンのラップは以下のとおり。
34.5-35.8 12年カレンチャン
34.3-33.8 13年ロードカナロア
34.5-37.7 14年コパノリチャード
34.0-34.5 15年エアロヴェロシティ
改修以前の15年間では前半32秒台が4回記録されていたほか、一番遅い年でも前半33.7だったことを思えば、改修以後はとにかく前半のペースが上がらないようになった。カレンチャンとコパノリチャードの年は馬場が重かったことを思えば決してスローではないけど、最後はやはり前が残っている。
改修によって最後の直線が長くなった上に急坂までできたことで、スタミナ温存のためにみんな前半飛ばさなくなったのだろうか。ただ結果的に他の距離では改修以降差しや追い込みがかなり届くようになっているわけなので、この中京1200の傾向はそれだけでは説明がつかない。
以前の中京1200は平坦で、2角ポケットから長い向こう正面を一直線に突っ走って3角に突入していた。それと比べると今の1200は3角までの距離がかなり短い。小回りローカルなら普通はそこでポジション争いが激しくなりそうなものだけど、中京が違うのはスタート地点から3角入り口まで上り坂が続いていて、序盤でスピードが上がりきらないままコーナーに突入するということ。さらに3角、4角と広いコーナーを長く回るため、中盤でもなかなかペースが上がりにくいまま残るは最後の直線だけになる。この改修後のコース形態が先行争いの激化を抑えているのではないかと思っている。本質的にハイペースにはなりにくいコースなのだ。
ちなみにコースレコードだった13年CBC賞も、ラップは前半34.2-後半33.8。このペースなら先行馬も余力は十分。58キロのマジンプロスパーと57.5キロのハクサンムーンの叩き合いの前に後続はなすすべもなく置いていかれたまま、前残りのレコード決着だった。


今回はハクサンムーン、ミッキーアイル、ローレルベローチェ、アクティブミノルにレッツゴードンキまでいて、先行争いが激しくなると見る予想も多い。ただこの中で本当にハナに拘るタイプなのはローレルベローチェだけではなかろうか。ハクサンムーンとミッキーアイルは2,3番手からでも競馬ができることは昨年このレースで証明しているし、ローレルベローチェ自身もこれまであまり速いペースでは逃げていない。逃げ馬がたくさん揃うと隊列があっさり決まって逆に展開が落ち着くのはよくあること。戦前いくらテンの速さを吹かしていても、隊列が一旦決まってしまえば、上り坂とコーナーの中でなお追っ付けて競りかけていく危険は誰も冒さないだろう。
そして土曜の1000万条件でなんとシゲルチャグチャグがレコードをコンマ5秒上回る1.07.5のレコードを出した。しかも逃げ切り。ラップは33.6-33.8。中京競馬場はGIの週を迎えて一気に前有利になった。
1000万条件レベルでも33秒台中盤で逃げてなお直線で33秒台の脚が使える。GI出走馬なら当然もっと時計は縮まる。でもこのコース形態ならGIだからといって33秒を切るような異常ペースにはなるまい。ハクサンムーンとミッキーアイルは決してスピードダッシュ任せの馬ではなく、マイペースで行ければ差し馬並みの末脚で後続を突き放す強力な二の脚の持ち主。33秒台半ばで進むようなら後続はまず届かない。



本命はハクサンムーン。
とっくに全盛期は過ぎたと思っていたけど去年のこのレースで2着に健闘して驚かされた。秋競馬は不甲斐なかったので今度こそ終わったかと思いきや、前走オーシャンSで再び2着に好走、それも32秒台のハイペースで逃げて直線後続を突き放した。もともと33秒前後のハイペースになると最後はしっかりガス欠になるタイプだったので、不得意な展開ながら見せ場を作った前走の内容はかなり評価できる。
全盛期はロードカナロアに土をつけたほどの実力馬。去年のこのレースでも最後の直線では後続を大きく突き放してエアロヴェロシティと接戦に持ち込んだように、まともに走ればG3級の馬たちとは地力が違う。
高松宮記念は過去3年が3着、5着、2着。前半のペースが上がらないまま直線の末脚勝負に持ち込める中京1200は最も得意とする舞台。3年間いずれもステップにはペースの上がりやすい中山のオーシャンSを使っていて、毎年前哨戦と本番で別馬のように一変している。オーシャンSの内容は4年目の今年が最も良かったので、今年は本番でも更なる期待が持てるだろう。
スタート一歩目が決して速くないこの馬にとっては揉まれない外枠を引き当てたことも重要な好走条件。晩成化が進む最近では7歳という年齢も能力低下の理由にはならない。これだけ条件が揃っていて単勝17倍、馬単・三連単なら実質20倍以上ついている。大きめに勝負してみたい。


相手は去年3着のミッキーアイル。ヘタに控える競馬を止めた事でようやく高い素質を安定して発揮できるようになった。抑え気味に先行した昨年でも直線3頭の叩き合いに持ち込んだように、ハクサンムーンと同等の性能を搭載している。ただ前走は人気に応えはしたものの、勝って当然の展開とメンバーだったことを思えばやや物足りなく映った。そのわりに人気してるし、騎手の経験値も不安なので対抗まで。


差し馬は基本届かないと思ってズバズバ消してみよう。高速馬場向きの馬もあまり多くない。
唯一怖いのは持ち時計ナンバー1で内枠を引いたビッグアーサー。ただ一時の勢いが消えていてこの人気と騎手だったらとても手が出ない。
ほかに高速決着に実績があるのはスギノエンデバーとエイシンブルズアイ。エイシンブルズアイはオパールSのレコード決着での2着があるほか、前走オーシャンSも1.07.5の好時計で差しきり勝ち。アルビアーノやスノードラゴンを置き去りにしてハクサンムーンを沈めた直線のキレ味はそれまでのレース振りからは考えられないほど凄まじかった。一戦だけではあまり信用できないけど、洛陽Sでも直線半ばまでは凄い勢いで差し込んできていたし、ここに来て本格化したのなら一気に有力候補の一角になる。


もう1頭の逃げ馬ローレルベローチェと、時計が速くなると鋭さを増す最低人気スギノエンデバーを三連単のヒモに加えるか。


◎ハクサンムーン
○ミッキーアイル
▲エイシンブルズアイ
△ローレルベローチェ
△スギノエンデバー


◎○の馬連は38倍。去年のこともあるしこの馬場だし、さすがにこの組み合わせは売れてるな。でも◎→○の馬単なら120倍まで跳ね上がる。
3着まではなかなか当たる気がしないし、◎⇔○▲の馬単折り返しを勝負馬券にしようかな。