有馬記念

09年以降の春秋のグランプリ11戦のうち、ステイゴールド産駒4頭がなんと9勝を上げている。中山2500全体の成績も72戦して勝率21%という圧倒的な数字。それも12頭で15勝を上げていて、一部の大物に限らず産駒全体がこのコースを異常に得意にしている。
また出走回数こそ17回と多くないものの、ハーツクライ産駒も侮れない。それまで広いコースで勝ちきれなかったギュスターヴクライがこのコースをぶっちぎって出世街道に乗ったのを皮切りに、勝率18%、連対率41%と堅実な成績を残している。中山2500ではコーナーを一気に回って直線入り口ですぐトップスピードに乗れるかが大きく勝負を左右する。ウインバリアシオンがこのコースで何度か見せたマクりも高い中山適性を示している。
一方で、広いコースの長い直線で徐々に加速していくと恐ろしい強さを発揮するディープインパクト産駒はこのコースでまだ勝ち星がない。特にラストインパクトは加速に手間取ってしまう典型のように見える。


1番人気を背負うのはどうやら黄金配合ゴールドシップ。岩田がどう乗るかだけど、この馬が最近先行策をとったのは阪神2200、京都2400、阪神3000など、スタートから最初のコーナーまで距離が長いコース、しかも少頭数のときだけ。それと対極に位置する中山2500でこのメンバー構成なら、仮に岩田がおっつけてもほぼ最後方からの競馬を強いられると思う。
前に行けないとしたら、この馬の力は他の人気2頭とはちょっと差があると思っている。一昨年勝った有馬記念は10馬身出遅れたルーラーシップが3着に間に合ってしまったほどの極端な前潰れレース。向こう正面からロングスパートに出たこの馬も4角を回ってもなおナカヤマナイトすら交わせずに10番手に留まっていて、あのマクリはレースにほとんど影響を与えておらず、先行馬が勝手に自滅したレース展開に大きく恵まれたと思う。去年は出走馬全体のレベルが低すぎたし、オルフェーヴルだけでなくウインバリアシオンにも完敗している。今回も強い馬には敵わずにせいぜい2,3着までではなかろうか。


本命はエピファネイアに託したい。去年の有馬の予想でも触れたけど、近年のジャパンCはスローだったら有馬記念には全く繋がらず、逆に速いペースで流れると有馬記念に直結する。厳しいラップで流れて底力が問われた今年のジャパンCで、あのメンバーを正攻法で4馬身千切り捨てたこの馬の地力の高さには驚かされた。ブエナビスタやオルフェーヴルの背中を知るスミヨンが日本馬で1番強いというだけあると思う。外枠に入ってしまってかかる可能性があるとはいえ、これまで2400以上のレースでは毎回かかり気味に走りながら十分な結果を出しているので、恥ずかしい競馬は見せないんじゃなかろうか。
かかり気味に速いペースで長い距離を走ってもまるで息を切らさない圧倒的なスタミナに加えて、弥生賞で直線早目にサッと抜け出した脚もあるので、中山2500にも不安はない。枠のせいで多少後ろからの競馬になったとしても、否応なくスタミナを問われるこのレースなら直線で一気に前を飲み込んでくると思う。


ジャスタウェイはかなり迷ったけど、帰国緒戦のジャパンC2着から調子を上げているならやはり勝ち負けになる。距離が少々伸びたくらいでダメになるような器ではないと思う。ただこの枠で福永なら最後方近くまで下がってそのまま直線を迎えてしまうんじゃなかろうか。思い切った乗り方をしない限りエピファネイアには届かない。


◎エピファネイア
○ジャスタウェイ
▲フェノーメノ
△ウインバリアシオン
△ゴールドシップ


エピファネイアの単勝5倍、ジャスタウェイとの馬連で10倍もつくのは想定よりかなり高いのでここらへんで勝負してもいいんだけど、3強の一角を崩すならフェノーメノかウインバリアシオンあたりだろうか。
フェノーメノはもっとパンパンの速い馬場の方がいいけど、セントライト記念や日経賞を見る限り中山コース自体には十分適性がある。今の中山もタフだけど湿ったり荒れているわけではないので十分こなす可能性がある。前走ジャパンCはスタートは良かったものの外枠が災いしてポジションをとれず、向こう上面ではハープスターよりも後方の14番手まで下がってしまう厳しい展開。そこからジャスタウェイと0.4秒差なので、休み明けだった秋の天皇賞当時のデキとは雲泥の差。二度叩いたここでスタミナを問われるレースになるならチャンスがある。
ウインバリアシオンは前走からの一変までは期待しにくいけど、地力は確かだしコース適性もメンバー中随一。このオッズなら押さえても良い。