マイルCS

オッズ割れてるなあ。単復こそダイワが1番人気だけど、連ではアグネスアークのほうが売れている。
それもこれも、前年覇者であり春のマイル王でもあるダイワメジャーが「衰えている」と見られているからだ。実際、6歳ともなればピークを過ぎたのは間違いないだろうし、秋の天皇賞もあの不利がなかったとしても勝っていた場面はとても想像できない。
だがこのメンバーに負けるほど衰えたかどうかはまだ分からない。今年のダイワのレースぶりには去年の勢いも威圧感も感じられないが、それはそもそも「アンカツの乗り方が違うから」ではないかと考えている。


去年秋に連勝街道を突っ走った頃のダイワの乗り方はワンパターンだった。スタート直後に押して先行して2番手のポジションを確保。4角を回ってすぐに先頭に立つ。あとは並びかけてくる後続を競り落として先頭でゴールを駆け抜ける。
3歳春以降しばらく大舞台での活躍から遠ざかっていただけに、「ようやく本格化した」と考えた人も多かった。だがダイワメジャーの高い素質とその発揮の仕方は皐月賞の時点で明らかになっていた。ノド鳴り、スローペース、ヨシトミなどが災いして不遇を味わった時期もあったが、アンカツが勝ちパターンを完全に手の内に入れてようやく安定して力を発揮できる環境が整ったのが去年だったのだと思う。乗り方次第でGI級の先行馬にも、キレない目標物にもなる。
だが今年のアンカツの乗り方は明らかに去年と違う。スタートしても無理に前に行かせない。4角を回ってもまだ追わない。ラスト300メートルくらいでようやくスパート。安田記念の時から違和感があったが、その後もずっとそれが続いた。秋の天皇賞にしても、ダイワメジャーの馬券を買った人の多くはまさか4角であの位置にいるとは思わなかったんじゃなかろうか。あそこから巻き返して直線突き抜ける脚はダイワにはない。あんな位置にいなければあんな不利を受けることもなかった。


なぜ一度手の内に入れたはずの勝ちパターンを捨てたのか。それが「ダイワが衰えたから」という不可抗力の可能性もなくはないが、もう一つ考えられる要因がある。陣営が「ジャパンCを狙っていた」ことだ。
1600〜2000のGIを総ナメにしたダイワが次に欲しいタイトルは間違いなくジャパンCだった。それに秋の戦いが始まる前には、マイルCSにはダイワスカーレットが駒を進めてくる可能性もあった。馬主と騎手が同じで厩舎が違う微妙な立場にいるこの2頭はお互いに戦うつもりはない。となると兄はジャパンCに行くしかない。距離を持たせなければならない。そのために追い出しを遅らせて我慢する競馬を試してみたい。そういう意図があって今年のアンカツはダイワの脚質転換を試みた。そう考えると今年の騎乗ぶりに納得がいく。


結果的にその作戦が功を奏すことはなく、また妹がこの上ない戦果をあげたこともあって、兄は再びマイルCSへ挑むことになった。今の陣営にはダイワメジャーに距離を持たせようとする意図は全くない。有馬記念のことも考えていない。最終追い切りで61秒2の猛時計を記録したのもその意欲の現われ。ただ全力でGIを勝つために西下してきたのだ。



ということで本命はダイワメジャー。本気になったこの馬を止めることのできる実力馬は、このメンバーにはいない。



秋のGI戦線が始まる前はもうダイワに◎は打たないつもりだったんだけどな。結局3戦連続で本命にしてしまったw。人間の心は変わるもんですね。
安田記念を勝って宝塚に駒を進めたとき、何となくアグネスデジタルを重ねて見ていた。ありとあらゆる環境でGIを6勝したあの馬は、安田記念レコード勝ちを最後にパタッと燃え尽きてそのままひっそりと引退した。デジタルと同じく若い頃から一線で活躍していたダイワも、もういつ衰えてもおかしくない歳になった。
でも明らかな格下に遅れをとったデジタルと違って、ダイワメジャーに死刑宣告はまだ早い。宝塚も毎日王冠も天皇賞も明確な敗因があるし、本来の乗り方をしていない。終わってみればやっぱりダイワだった、という結末を期待したい。








対抗はアグネスアーク。
能力の高さはもう疑う余地もない。キレないが、バテない。イメージとしてはダイワメジャーを脚質的に後ろにちょっと下げたようなタイプ。つまりダイワが作るペースと相性がいい。1600でもスローの33秒台勝負にならなければ問題ないはずで、タキオン産駒も全体的にこのコースは強い。
ダイワと似ていると考えれば、札幌記念で今ひとつ地味だった2着も、「単騎の逃げ馬」と「瞬発力の追い込み馬」にとって有利な展開だったことを思えばこの馬にとっては最悪の展開で、5番手から抜け出してきたのは見た目以上にいいレースだったように思える。毎日王冠で2着に負けたのも、スタミナを問われたレースで勝ち馬と血統の差が出ただけ。長距離馬ではないのにあれだけ好走したとしたら相当高い能力を秘めていることになる。そして天皇賞。まともに不利を受けながら最後まで伸び続けて見事2着を確保した。
春に活躍→不調→函館の重い芝で負ける→札幌記念で大穴2着→前走不利→マイルCS、という流れは02年のトウカイポイントを思い出させる。
あとは夏から使い続けてどれだけ余力が残っているかが問題だが、もう一つ、藤田にも不安がなくもない。今年のマイルGIで極めていい成績を残している藤田伸二だが、実は京都1600外回りが苦手なのだ。デビュー以来このコースで勝率6.2%、単勝回収率33%。そしてオープンクラスのレースで( 0 7 6 33 )という有様。アグネスアーク自身がオープン未勝利だが、実は藤田もこのコースでオープン未勝利なのである。これはちょっと心配なので対抗までとした。




カンパニーは天皇賞で不利を受けながら見せ場たっぷりの3着。富士SやスワンS組とはレベルが違う。当然有力候補なんだけど、GIで不利を受けるのがお約束のような馬なので信頼できない。
他にダイワとアグネスに対抗できる可能性があるとしたら、ペリエが全能力を発揮させた場合の先行馬フサイチリシャールくらいかな。スーパーホーネットとかはまだまだ実力不足だと思う。スズカフェニックスも末脚勝負に徹してようやく掲示板が見える程度だろう。
人気馬ばかりになってしまったので、1頭くらい穴馬を指名しておこう。大穴ならジョリーダンス。もともと休み明けは走らずに叩いて一変する馬。春の活躍と川田への乗り替わりで3着くらいには食い込む余地はありそう。



◎ダイワメジャー
○アグネスアーク
▲ジョリーダンス
△カンパニー
△フサイチリシャール



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