安田記念

ヴィクトリアマイルのアーモンドアイには参った。休み明けで1600のスピード決着なら取りこぼしもあるのではと思っていた。高速東京マイルの活躍馬としては個人的にはストレイトガールを歴代最強に推していたんだけど、あれを見せられるとやはりアーモンドアイが強いと認めざるを得ない。GI7勝の壁がついに破られてしまうのかというと感慨深くもあるけど、時代も違うし、この馬なら仕方ない。

 

グランアレグリアの取捨にずっと迷っていた。3歳春までのパフォーマンス以上に、阪神Cの5馬身差圧勝と、前残りの高松宮記念の鬼脚を高く評価している。東京マイルで高速決着になると超一流のスピード馬の持続力の前には中距離馬ではどうしようもないような印象を持っていて、打倒アーモンドアイの筆頭格ではないかと思っていた。実際ヴィクトリアマイルに出ていれば相当いい走りをしたと思うんだけど、今の府中は先月ほど時計は速くなさそうだし、さらに昨日一雨降って午前の時点では稍重。それに強豪馬も多数揃って楽な競馬は見込めそうもない。タフな力勝負の競り合いになるとやはり脆さが先に出るのかなという気がしてきた。

 

東京マイル戦は大穴も頻出するコースで予想が難しいけど、その中でも安田記念は他のGIとも傾向が違っていて、その要因の一つには定量58キロ(牝馬56キロ)という重い斤量があると思っている。こんな酷量で戦うレースは他に春秋の天皇賞くらいしかなく、マイラーではGI馬でもない限り普段なかなかこの斤量は背負わない。マイル1分31秒台で駆け抜けるスピードと、長い府中の直線を走りきる持続力に加えて、重い斤量をものともしないパワーが必要になる。この斤量経験という点でもグランアレグリアには不安がある。それ以上に不安があるのがダノンキングリー。毎日王冠中山記念ではインディチャンプを圧倒するほどのキレ味を見せるけどGI本番だと底力が足りない。前哨戦では強いのに本番ではピリッとしない一番の原因は斤量増ではないかと思っている。460キロにも満たないキレ味が身上の馬にとってこの舞台は厳しい。

58キロをものともしないのは前年王者インディチャンプ。休み明けは最後止まってしまうけど一叩きすると強いというパターンが定着化した。ただ今年は間に一走挟んだことで、ベストの「叩き2走目」を前走で使ってしまった気がしている。昨秋の叩き3走目の香港マイルでは全く力を出せなかった。今年のマイラーズCも楽勝だったとはいえ前を行くベステンダンクを交わすだけの楽な競馬だったし、何より歴代のマイラーズC勝ち馬は安田記念本番でほぼ全くと言っていいほど結果を出せていない。去年と違うローテの分、今年は前哨戦を勝って本番で負けるパターンではなかろうか。

 

安田記念で強いのは58キロを背負い慣れている馬、特に前走で58キロ以上を背負った馬。実際17年と18年は前走58キロだったロゴタイプが2年連続8番人気で1,2着と激走して、同じく前走58キロだったレッドファルクスも3着に好走した。10年は前走59キロで快勝したショウワモダンが本番でも8番人気で1着。03年6番人気で勝ったアグネスデジタルも前走59キロで大敗してからの一変だった。マイラーズCから安田記念と連続して好走した稀有な例であるエイシンドーバーコンゴウリキシオーも前走58キロを背負っていた。直近で重い斤量を背負って好走した馬は評価したい。

となるとダノンプレミアム。香港GIで59キロを背負って3着。外を回して差す形になって最後は力尽きたけどさすがの内容だったと思う。昨年の天皇賞秋でも58キロを背負って2着を確保しているし、この斤量は全く苦にしない。昔から秋の天皇賞安田記念の相性はかなり良く、最近もアエロリットもどちらでも好走したように58キロを背負って高速の府中の馬場を耐え抜く力が十分備わっていることを保証している。少し人気を下げているけど、内枠から好位を確保して力勝負に持ち込めばこれがアーモンドアイの対抗筆頭格ではなかろうか。昨年のこのレースはこの馬とアーモンドアイが人気を背負ったけどスタートで大きな不利があって力を出せずじまい。今年この2頭がワンツーを決めれば面白い。

 

問題は3着争い。GIで来る底力があるのはペルシアンナイトだけど、東京では走らない。前崩れになれば大穴はケイアイノーテックだけど、そこまでの展開にはならないか。アドマイヤマーズはよく分からない。皐月賞の前までは高く評価していたけど、NHKマイルCは見事勝ったとはいえ相手を見ると大したことないし、休み明けの富士Sで大敗している点も印象が悪い。GIの川田も大体人気より上には来ないので消してしまおう。

買いたいのはノームコア。レコードをたたき出したヴィクトリアマイルもさることながら、安田記念と同じ条件で56キロを背負って牡馬をなぎ倒した富士Sが凄い。スピード決着で前残りだった前走ヴィクトリアマイルもよく差してきていたと思う。この一年の古馬マイル重賞はトロワゼトワルの京王杯AH、ノームコアの富士Sサウンドキアラの京都金杯、プリモシーンの東京新聞杯といった具合に牝馬にいい様にやられっぱなしで、牝馬のレベルは非常に高い。このメンバーでも十分やれると思う。

大穴でクルーガーまで押さえておくか。ダートに転向したりオーストラリアに行ったりしてもはやよく分からない馬になってきたけど、昨年春の香港GIで59キロを背負ってウインクス相手の2着が光る。前走ダービー卿CTも好時計で先行抜け出しで圧勝だった。一発やりきる底力は秘めている気がする。

 

◎アーモンドアイ

○ダノンプレミアム

▲ノームコア

△クルーガー