石清水S

99年6月12日、1回函館開催初日の新馬戦でチアズグレイスがデビューし、同期生で真っ先に勝ち名乗りを上げた。ご存知の通り後の桜花賞馬であり、今では繁殖入り。娘のチアズガディスが既にデビューしている。


トニービーバー

その新馬戦で1.5秒離され最下位に敗れたのがトニービーバーだ。あれから6年半。明け9歳になった。2冠馬エアシャカールが種牡馬入り後に死んだのも、もはや遠い昔のように聞こえる。4600頭いた同期中央登録馬も、現役に残っているのは30頭あまりしかいない。



だがこの9歳世代は息長く現役で活躍している印象が強い。去年もタップダンスシチー、ユキノサンロイヤル、メジロマントルと3頭もの8歳馬が重賞を制覇した。8歳馬の重賞勝ち自体が年に1度あるかないかの珍事であり、3頭が一斉に達成したのはおそらく過去に例がない。今年は9歳での重賞制覇の期待もかかる。
他にも、もはや全盛期の力はなさそうだが、ミツアキサイレンス、エンゲルグレーセ、スプリングシオン、アラタマインディ、アンクルスーパー、タイギャラント、ロードフラッグあたりもこの世代の現役馬だ。










トニービーバーは一昨年春に7歳でようやく1000万条件を卒業した。その後しばらくは準オープンでも通用していたが、休養明けの04年秋からは惨敗が続いた。もはや単勝が100倍を超えることのほうが多くなった。だが去年秋に復帰してからは、着順こそ11→6→4→13→10着と振るわないが、着差は0.6差、0.5差、0.3差、1.0差、0.4差とそれほど大きく負けていない。


3走前の奥多摩Sでは単勝193倍の低評価を覆してヴリル、タイキラファエロといった強力馬に喰らいつき4着。ロードマジェスティ以下に先着した。それが元で2走前の六甲アイランドSでは多少穴人気したが、見せ場なく惨敗。だがこのときはブルーショットガンが1.09.7も時計を要するほど力のいる馬場だった。東京、京都、新潟で良績を残すトニービン産駒のこの馬が走れる条件ではなかった。
その惨敗で再び人気を落とし、単勝134倍で迎えた前走の新春S。前傾ラップの差し競馬の中で、3番手から先行してよく粘った。着順こそ10着だが勝ち馬との差はたったの2馬身。まだまだやれる。



前走の悪い着順がカモフラージュ。そして1600の距離実績( 0 0 0 4 )。さすがに今回は全くのノーマークだろう。だがハンデ53㌔は恵まれたし、1600の負けも過去72戦のキャリアを考えれば数のうちに入らない。このメンバーなら先手をとれるはずで、むしろ距離延長が好材料として働く可能性もある。
騎手は同じコースのシンザン記念で穴で逃げ切った石橋守。条件は整った。インマイアイズやニホンピロキースは57㌔。このメンバー構成なら、十分チャンスはあるはずだ。










先日、スティルインラブの引退式と前後して、9歳世代を代表する個性派・ゴールデンロドリゴがひっそりと登録を抹消した。亡くなったそうだ*1
名古屋を愛した馬だった。下級条件の頃から、惨敗後に中京遠征しては復活勝利を挙げるというお決まりのワンパターンを繰り返していた。4→3→2着と3年連続好走していたCBC賞に去年4度目の挑戦をしたが、雪で順延→出走取り消しというオチがついた。それがゴールデンロドリゴの戦績の一番最後に付け加えられた。
そのへんのGIホースよりも記憶に残る馬だった。





もちろんトニービーバーはゴールデンロドリゴの死など知らない。
それでも9歳馬の奮起に期待せずにはいられない。
今週土曜は、トニービーバーの単複で。

*1:情報が少ないので、何かご存知の方は教えてください