シンザン記念

昨年末、武幸四郎が調教師試験に合格し、兄より先に騎手を引退することが決まった。
97年、デビュー2日目にして11番人気のオースミタイクーンでマイラーズCを制し、JRA史上最短の重賞勝利を記録。さらにこの年は8番人気でセントウルS、10番人気で阪神牝馬Sも立て続けに制覇。天才と呼ばれた兄とは違って、新人の頃から穴ジョッキーとして名を上げた。


穴はいつも忘れたころにやってくる。武幸四郎には、3年というスパンで3歳GIの大舞台で穴を開ける法則があった。デビュー4年目の秋華賞で10番人気ティコティコタックで1着になりGI初勝利を上げ、その3年後にはウインクリューガーでNHKマイルC9番人気1着。さらに3年後の菊花賞では8番人気ソングオブウインドで衝撃の1着。さらに3年後の皐月賞ではトライアンフマーチを9番人気ながら2着に持ってきた。
しかしその後118連敗という大スランプにも陥って、騎乗機会が大きく減少、暴行事件の被害にも遭った。成績はすっかり低迷。そんな中でもトライアンフマーチから4年後にはメイショウマンボでオークス9番人気1着。松本オーナーと握手しながら号泣する姿が報道された。


メイショウマンボのGI3連勝からさらに丸3年が過ぎて、デビュー20年目の今年2月、ついにステッキを置く。ダートGIに乗り馬はいないので、もう大舞台のチャンスは無い。重賞のチャンスすらそう多くない。
しかし大穴から3年も経って忘れたころにこの穴男は必ずやってくる。引退までにもう一度きっとやらかすんじゃないかと思っていた。


ここじゃなかろうか。シンザン記念のメイショウソウビ。
逃げ馬なのにスタートが壊滅的に下手という難儀な馬だけど、少々押してでも逃げてしまえば強い。芝4戦中、ハナに立った2戦は後続を寄せ付けずに快勝。出遅れて負けた2戦も力を出し切れないなりに掲示板には乗っているし、それなりに基礎能力は高そうに見える。
今回のメンバーではトラストは控える競馬を覚えさせたいようだし、他にハナに固執しそうな馬もいない。少々スタートが良くなくても、1200で逃げていたこの馬ならすんなりハナに立てるだろう。土曜の京都は逃げが良く残っていたし、前が降ればなお逃げが残りやすくなるのが京都マイル。引退間際にもう一花咲かせるチャンスは十分あると見た。


◎メイショウソウビ
〇ペルシアンナイト


相手は空気の読めないイタリア人。