オールカマー

ゴールドアクターにとって不安要素がいくつかあった天皇賞とは一転して今度はベスト条件に近い。休み明けにも不安のない馬だし、よほどイレこんだおかしな状態で出てこない限り、昨年のグランプリホースの名に恥じない結果を出してくれると思う。


馬券で勝負するなら消すのはマリアライトのほう。
この距離でGIを2勝しているとはいえ、いずれも稍重でかなり力のいる馬場。エリザベス女王杯は2分14秒台の決着で相手は牝馬。宝塚記念も36.3の上りでマクって勝てるほどのタフな競馬で、祖父エルコンドルパサー譲りのこの馬のスタミナが活きた。直線前半ではラブリーデイとステファノスの方が脚色が良かったけど、この2頭が後半力尽きてもなお伸び続けて、遅れてやってきたドゥラメンテを退けた。スタミナにモノを言わせた強引な勝ちっぷりは近年ではゴールドシップのような豪快さを持っていた。
ただ同じ2200でも、阪神・京都と中山は違う。阪神2200と京都2200では通常差しがよく届いていて逃げ・先行と同程度かそれ以上の高い連対率を記録しているのに対し、中山2200の重賞は逃げと先行が圧倒的に強い。特にオールカマーは、最近こそハイペースでヴェルデグリーンが差し切ったり、後のJC馬ショウナンパンドラの豪脚が炸裂したりしたものの、それ以前は20年以上に渡って差し馬は勝っていない。上がり最速の馬がきっちり届く宝塚記念とは対照的。中山2200の勝負どころは直線を向いてすぐのところにあって、そこで加速が遅れた馬はなかなか勝負圏内に入れない。純粋にスタミナで勝負するマリアライトは中山2200は向かない可能性が高いと思う。実際昨年のこのレースでも勝ち馬はおろかミトラやロゴタイプあたりにも離されていて、メイショウナルトを交わすのがやっとだった。そういえばゴールドシップも中山2200では惨敗してたな。
去年よりは地力が増しているとしても、相変わらず休み明けはパッとせず( 0 0 3 1 )で連対ゼロ。そもそもオープンクラスでは( 2 2 1 3 )でGI2勝を除くと他は1つも勝っていない。GI級の厳しいペースになるならともかく、少頭数のGIIでは実力を発揮できない可能性が高い。日経賞は好走したと言えるけど、今度は距離が短縮した上にメンバー構成的に先行できそうにないし、斤量も違う。目黒記念で格下に負けたように、430キロ台の小柄なこの馬にとって牡馬と同じ56キロを背負わされるのはかなりの不利だろう。


特にゴールドアクターがレースを支配する展開になるとよりマリアライトは厳しくなる。春の天皇賞で崩れるまで5連勝を続けた吉田隼人とゴールドアクターの勝ちパターンは、道中2,3番手につけてじっとしたまま、直線を向いて得意の瞬発力で確実に前を捕らえるというもの。早めに前を捕まえて無駄に後続に差をつけることはしないため、後方組の出番がなくなり、相手には先行馬が一緒に残る。今回は逃げ馬候補が何頭かいるけど、それほど積極的に逃げたい馬もいない。レース展開は2番手の馬が決める。そこにゴールドアクターが敢然と居座ったなら、自然とスローから前有利のペースになるだろう。


問題は馬場。思った以上に雨の影響が強くて土曜は外差しが決まりまくった。これでマリアライトにも勝てる目が出てきた。ただ日曜に外に出す馬が増えれば、次は外も荒れてまた前が残るフェーズが来る。あるいは外差しを警戒した結果必要以上にスローになるかもしれない。マクリきって直線先頭で迎えるほどマリアライトは強くないと思うし、もっと先行策から自分で競馬を作れる馬から買ってみたい。


実績で2頭に次ぐのは重賞4勝のサトノノブレスかもしれんけど、中山の成績が悪いし、中山2200は1枠の成績が極端に悪い。それにこの馬はG3で格下相手に勝ってばかりで、自分より強い相手に一矢報いる感じがしない。


ここはやはりカレンミロティックではなかろうか。
東京・中山で( 0 0 0 5 )と何も結果が出ていないけど、中山はオルフェーヴルの有馬記念で先行して大健闘の6着があるし、道悪で後方からの競馬になった中山記念惨敗は度外視できる。淀の長距離戦で毎回見せる直線を向いたときの瞬発力は中長距離ホースとしてはなかなかのレベル。輸送さえこなせば、本来は中山の中長距離戦に高い適性を示すはずの馬だと思う。
休み明けは( 3 1 2 5 )で、前述の中山記念と逃げる形になった阪神大賞典以外は掲示板を外していない。他の敗戦も海外遠征や直線不利の大きかった阪神大賞典など言い訳のできるレースばかり。使い詰めると消耗するタイプで、条件馬の頃から休み明けのほうがかえって走る。
馬場が速ければそれに越したことはなかったけど、ゴールドシップの宝塚記念で2着があるように、スムーズに運べれば荒れた馬場もこなす。ハナに押し出されたり他馬の目標にされて追われる展開になると脆い馬だけど、今回は逃げそうな馬も何頭かいるし、大外枠なので自然と2,3番手でゴールドアクターとほぼ同じ位置から競馬を進めることになりそう。展開さえ向いてくれれば、2キロ重いマリアライトを封じ込める力は持っていると思う。


◎ゴールドアクター
○カレンミロティック


シンプルに馬連1点だけ。
道悪なら厳しいかなとも思ったけど、カレンミロティックが全然人気がないので馬連で25倍ほどつく。このオッズなら勝負になる。