エプソムC

先週の土曜は東京も結構外差し馬場になってきたかと思っていたけど、先週日曜朝の雨の影響か、一瞬でそれも通り過ぎてまた別の傾向に移り変わったように見える。
安田記念でロゴタイプが逃げ切って穴を開けたのはいろいろな要因が重なった上でのことだけど、端的に言ってしまえば馬場にもかなり恵まれた。1000の通過59.1の超スローなら、例えロゴタイプが33.9で上がろうと、後続は33秒前半の脚を使って差し切れる自信があったと思う。実際は上がり最速のフィエロでさえ33.5に留まり、ロゴタイプとの差はほとんど縮まらなかった。
Cコース替わりしたダービーの週から兆候はあったかもしれないけど、特に先週あたりから東京の芝は時計がかかっている。特に直線で上がりを要する馬場に変わった。直線まで溜めていてもスパッと切れる脚は使えず、先行馬と追い込み馬に差がつきにくい。ある程度のポジションにつけた上で長い脚を繰り出さないと勝ち負けに加わるのが難しい。
今週土曜が芝5戦とも前残りで決まったことで日曜は騎手の乗り方も変わってくるかもしれないけど、一度こういう馬場になったら芝の傾向自体はなかなか変わらない。エプソムCのメンバー構成はマイネルミラノの単騎逃げ、先行馬もごく僅かで、ほとんどは差しと追い込み馬ばかり。こうなると勝ち負けに加わるチャンスのある馬はそう多くないんじゃないかと思う。なんとか狙いを絞って当てたいところ。


中山とかローカルでありがちな単なる前残り馬場なら、単騎逃げのマイネルミラノから入りたいところだけど、東京の1800となると簡単には逃げ切れない。古馬オープンや古馬重賞でのこのコースでの逃げ切りは過去20年でエイシンヒカリが2回、サイレンススズカが2回、あとはエーシンリターンズ、テイエムオーロラ、トゥザヴィクトリーあたりが超スローで逃げ切ったくらいで、勝率9%、回収率35%とパッとしない。後続に脚を使わせながら逃げ切ったのがエイシンヒカリとサイレンススズカ以外いないというのはなかなか絶望的だ。2,3着自体はかなり多いところを見ると、目標になる不利が長い直線の最後で利いてきて結局差されてしまうのだと思う。マイネルミラノも実力的に重賞を勝つにはかなりの展開利が必要な馬だし、スローに落とし込んでチャンスが広がるような馬でもない。ヒモまでだろうか。



本命はロジチャリス。
ルージュバックやフルーキーが基本的には人気先行型なのに対して、こちらは多少地味な存在で下級条件でもなかなか1番人気にならなかった。しかし無理なく先行してしっかり前を捕らえて最後まで粘り抜く模範的な競馬ができる馬で、デビュー以来、直線最内で詰まった1000万条件戦と、道悪の1400で突然大惨敗した雲雀S以外は全く崩れていない。先行力だけでなく、東京の長い直線で( 3 1 2 1 )という成績を残しているように最後まで気を抜かずに長い脚を使えるところにも好感が持てる。休み明けプラス10キロの馬体で挑んだ節分Sでは外から急追したマジックタイムらに一気に差されてしまったけど、並びかけられてからもう一度伸びて他をしっかり突き放しているあたりが強い先行馬の証。
前走もレアリスタに注目が集まる中での単なる前残り戦のようにも見えるけど、中身はスローから早めに抜け出して他を寄せ付けない完勝だった。先行して上がり3位の末脚を使われると他馬はどうしようもない。ここに来て若い頃には欠けていた末脚のキレが増してきたような感じで、そうなるといよいよ弱点が無くなってくる。追い切りからもますます好調の様子。まだ重賞級の馬との対戦がほとんど無くて力の評価が難しいけど、これだけ競馬が上手ければ、素質だけで下級条件を勝ち上がってきたような馬よりよほど相手強化に対応できるだろう。
福永も東京1800重賞では最も成績が良い騎手の1人で、通算( 11 5 2 17 )で勝率31%、単勝回収率180%。特にエプソムCは( 2 3 0 0 )と好成績を残している。この馬の騎乗時も3戦全勝で好相性。他の有力馬が外枠に回ったのも好都合。アタマまで期待したい。


地力最上位はフルーキー。上がりが速くならない今の東京の馬場は向くと思う。ここに来て若干人気を落としたけど、前走の2着も中段からよく伸びてさすがの実力を見せていたし、これまで常に強豪相手に1,2番人気に推されながら堅実に走ってきた実績を思えば今回はメンバー的にはかなり楽になっている。57.5キロでも実績は十分なので58キロもこなすだろう。
ただやはり勝ち味に遅いタイプだし、問題は位置取り。その気になればマイル戦でも先行できる馬なのでそんな後方にはならないだろうし、デムーロも先週あたりから調子を上げてきているけど、ロジチャリスを捕らえられるかは微妙なところ。


ルージュバックの実力は、牡馬相手でも人気薄で展開や斤量の利があれば何とかG3を勝てるかもという感じで、1番人気に推されるとなると全然事情が違う。エリザベス女王杯4着にヴィクトリアマイル5着とそれなりに上位に来ているけど、いずれも勝負が終わった後で突っ込んできているだけでレースの勝ち負けには加わっていなかった。この手の馬は相手のレベルが下がっても同じように負けることが多いと思う。前走も前に厳しい展開の中で早めに勝負に行ったマジックタイムの方がよほど強い競馬をしている。
前走で後ろから来た上位3頭には並ぶ間もなく交わされているわけで、スパッと切れる脚はこの馬にはない。オークスや中山記念のように4角で4-5番手につけて早めに先頭を狙って体力勝負に持ち込む競馬をしないとなかなか勝てないと思うけど、今回大外枠から人気を背負ってそんなポジションを取りに行くだろうか。ヴィクトリアマイルは上位陣がその後軒並み体調を崩す消耗の激しい一戦だったことも気になる。
ラングレーもせっかく連勝したけど前走は特に見所なし。重賞で通用すると思わせるポイントが無くて買いにくい。



◎ロジチャリス
○フルーキー
▲レコンダイト
△マイネルミラノ



安いけど◎○の馬連で勝負してみるか。三連単のヒモにはレコンダイト。前走は直線で前が塞がる不利が無ければもっと際どかったはず。マイネルミラノはおまけ程度。