天皇賞・春

弱い弱いと散々叩かれていた4歳牡馬世代の筆頭アサクサキングスが、いつの間にか1番人気の大役を務めることになった。産経大阪杯からの距離延長や斤量面での上積みが相当見込まれてしまったわけだ。
しかし本番と全く違う距離のレースで4番人気で3着になっただけで、次はさぁ1番人気というのはさすがに期待しすぎじゃなかろうか。例年の菊花賞馬と比べてもわりとスピードに優ったタイプだし、菊の最後の直線でフラついていたことを思うとホントに距離延長で上積みがあるかも少し疑わしい。
菊花賞2着馬アルナスラインが東京でぶっちぎって勝ったこともアサクサの評価を後押しすることになったようだけど、アルナスラインが大きく成長したからといってアサクサが同じ量だけ成長したかはわからない。あくまで大阪杯で3着という結果から推測するしかない。
そして四位洋文がGIで一番人気というのも気になる。3000メートル以上のレースにあまり実績がなく、あのイングランディーレが逃げ切った年も四位・小牧・岩田といった2番手集団が全く動かなかったことが大波乱の一因だったと記憶している。菊花賞は文句なしの騎乗だったが、当時は4番人気。今回1番人気で果たして同じ乗り方ができるかどうか。大事に乗りすぎる気がする。
「春の天皇賞は4歳馬が強い」という過去のデータもよく取り上げられているが、これだけ高齢馬が活躍する近年にあってはあまり意味を持たない。



本命はアドマイヤジュピタ。
阪神大賞典を完勝したわりには他の穴馬たちに人気を吸い取られたような感じ。全体的に今年は阪神大賞典組が全然支持されていない。今年もGI実績のない馬が勝ったことで、ダイタクバートラム、リンカーン、アイポッパーらの例を思い出したファンが多いようだ。そしてこの馬にちぎられた馬達も相対的に評価を落とすことになった。
だがダイタクバートラムは4角の不利がなければおそらく春天を勝っていた。リンカーンも異常に時計のかかる馬場に脚を殺されたが2年後にはきっちり適性を示した。昨年のアイポッパーもアンカツの無茶な位置取りがなければ十分勝ち負けだったと思う。阪神大賞典の春天最重要ステップという位置づけに変わりはない。
あともう一つ、この馬が世間からおおよそ「瞬発力型」という見方をされていることが俺の解釈と違う。フレンチデピュティ産駒の長所はサンデーのような上がり3ハロンの瞬発力ではなく、平均ペースでいい脚を長く使えるところにある。先行して堅実に伸びるこの馬もその典型。しかも多くのフレンチ産駒がマイルから中距離のミドルペース〜ハイペースに良績が集中する中で、この馬に限っては母父リアルシャダイの血のおかげか2500でも3000でも良い結果を出した。今更距離に関する不安はなく、むしろ極端なスローよりはホクトスルタンが快調に飛ばした方がこの馬にはお誂え向きの流れになると思う。そりゃ異常な前潰れにでもなれば話は別だが。
最大の心配は枠順。でも最近は外枠からの好走例も増えたし、前半で脚を使いすぎなければ問題ないだろう。


対抗も大賞典組からトウカイトリック。当時内有利の馬場状態の中で終始外を回してあの結果なら悪くない。調教を見るとさらに調子を上げてきたようで、昨年の速い馬場で僅差3着の実績も信頼できる。先行したい強豪が外枠に入ったことで多少前目につけやすくなった。今年GIで毎回見せ場を作っている幸の騎乗ぶりにも期待したい。


◎アドマイヤジュピタ
○トウカイトリック


ここから好枠アドマイヤモナーク、長距離砲アイポッパー、京都巧者ドリームパスポートあたりに何頭か流す予定。アサクサは無理に消す必要もないか。ピークを過ぎた感のあるメイショウサムソンとポップロックは嫌う方向で。ホクトスルタンがどれくらい見せ場を作るかは今回の天皇賞の楽しみの一つだけど、馬券的には買えない。