皐月賞

桜花賞以上に、皐月賞も脚質がモノをいうレース。ほとんど「華」だけで通用するダービーとは全く違う。過去のデータから特に脚質に関する傾向をピックアップしてみた。


90年〜06年の皐月賞の勝ち馬17頭の4角での位置取りを見ると

  • 先頭・・・3頭
  • 2番手・・・3頭
  • 3番手・・・2頭
  • 4番手・・・1頭
  • 5番手・・・0頭
  • 6番手・・・1頭
  • 7番手以下・・・7頭

馬場状態によって先行絶対有利になった年もあったが、だいたいの年は先行馬と差し馬が入り乱れて鎬を削る混戦になる。強い差し馬なら末脚勝負でも十分届く。これだけ見れば、特に脚質の有利不利を言うことはない。


だが17頭の前走での4角での位置取りを見ると、傾向が浮き彫りになる。

  • 3番手以内・・・11頭
  • 4番手・・・3頭
  • 5番手・・・1頭
  • 6番手・・・1頭
  • 7番手以下・・・0頭

つまり、トライアルでのんびり後方待機して末脚勝負に徹していたような馬が、皐月賞を勝った試しはないのだ。馬は少なからず前走の競馬を覚えているので、本番の厳しい流れにうまく乗れないまま、フルゲートの大外を回したりするうちにゴール板がきてしまう。アドマイヤムーン、タニノギムレット、メジロブライトなど、このパターンで飛んだ人気馬は数多い。逆に栄冠を掴んだナリタタイシンやエアシャカールあたりは、実はトライアルの時点でそれなりに積極的な競馬を試みていた。同じ後方待機でも、トライアルで先行策をとって厳しい流れへの対応力をつけていた馬ほど末脚を引き出しやすいのだと思う。


この「前走の脚質」という点だけで多くの伏兵候補が消えてしまう。特にナムラマースがもったいない。毎日杯は勝ったとは言っても阪神外回りコースで格下を差しただけ。もっと本番に繋がる競馬をしてもらいたかった。
特に今年は、フサイチ&アドマイヤ両雄が共に「直線でモタれる」癖を持っているのでこの2頭より後ろから競馬を進める馬は直線の進路が取りにくくなることが考えられる。2頭に勝ちたかったらある程度前で勝負するしかない。





じゃあ人気2頭はどうなんだという話。


とりあえずフサイチホウオーはないと思う。並んでから譲らない勝負根性は怖いものの、ラップもどれも平凡で、今の実績以上に強いとは思ってない。ラジオNIKKEI杯はスローの瞬発力に適性があったのがこの馬一頭だけだったという感じ。東スポ杯もドリームジャーニーが前半かからなかったら差しきっていた可能性は十分ある。フライングアップルよりちょっと上くらい。枠もローテも微妙で、ここで土がつきそうだ。
ちなみに父親ほど東京向きの資質を持ってるとも思ってない。ここで3〜4着くらいに走って、ダービーで再び人気して飛びそうな気がする。


アドマイヤオーラは極上の瞬発力と末脚の持続力を合わせ持っている。ラスト1ハロンの時計が優秀すぎる。あとは緩みないラップになったときに同じような脚が使えるかが問題。
皐月賞というレースは、ネオユニヴァースが勝った頃から向こう正面でペースが緩んで上がり34秒台が頻発するようになった。あの当時のような流れならほぼ間違いなくこの馬が勝つと思う。だが昨年はまた昔のような我慢比べの消耗戦に戻っていて、今年も先行馬の面子を見ると楽なペースにはならなさそうだ。それでも差しきれるようなら2冠濃厚だが、今の中山はミドルペース以上だと差すのは相当難しい。






本命はヴィクトリー。
ちょっと頭が悪い点を除けば、「我慢比べの皐月賞」を勝つために必要な素質は全て兼ね備えている。前走も厳しい流れを自分で作って楽に粘りきる完勝。叩いた上積みがあれば十分勝負になる。
しかも思ったより全然人気がない。単勝7倍くらいかと思ってた。先週のアストンマーチャンが気性面が原因で人気を裏切ったのがファンの間で尾を引いてるんだろうか。だがヴィクトリーの場合はこれまでのレースでも少々イレ込みながらも結果を出しきたので、大一番で突然かかったアストンマーチャンとは多少質が異なることは考えておきたい。
ちなみに田中勝春ほど逃げたときの勝率と回収率が高い騎手はなかなかいない。サンツェッペリンよりもこっちのほうが速いはずなのでできれば相手に合わせることなく先手をとってほしい。
ホントは勝春とかGIでは買いたくないんだけど、今回はGIじゃなくてJpnIだからなんとかなるんじゃないかなw




◎ヴィクトリー




最後までアサクサキングスと迷った。こっちもかなりの素質馬だし追いかけて絶対損はしないと思うんだけど、やはりきさらぎ賞から間隔が開いたのが気になった。この時期の3歳馬は一戦ごとにグングン成長していく。トライアルを使わずに皐月賞を勝つのは相当難しい。