上がり1位の馬の成績

レースを予想する上で、過去のそのレースでの「上がり3ハロン1位の馬の成績」に着目する手法がある。上がり1位の馬の成績が良いレースなら、差し馬でも追込み馬でもいいからとにかく直線で一番伸びそうな馬を買っておくという作戦。もちろん逆なら先行馬を買う。俺はあまり見ないファクターだけど昔監督がよくやっていた。
では上がり1位の馬(1位タイの場合は両方カウント)が強いレースはどれだろうか。


2000年以降だと、芝GI全体での上がり1位の成績は、勝率31%、連対率50%といったところ。その内訳を見るとやはり府中の中長距離戦が上位で目立つ。オークスが( 10 4 4 3 )。ダービーが( 9 3 2 6 )。天皇賞が( 7 3 4 3 )と、軒並み勝率が4割を超え、連対率は6割ほどにも達している。あとは阪神JFとか。
ちなみに上がり1位の馬がなかなか勝てないのが両スプリントGIとヴィクトリアマイルである。これもイメージしやすい。


しかし数々の東京のGIレースを上回って、上がり1位の馬が( 8 6 0 1 )で連対率9割超というダントツの成績を残しているのが宝塚記念なのだ。ちなみに上がり2位の馬も成績が良くて期間内に4勝を上げている。宝塚記念と言えば佐藤哲三が2度先行して押し切ったイメージも強いので、これはちょっと意外な結果ではなかろうか。
2着に負けた6戦も、同タイムの2着が4回と、0.2秒差の2着が2回といずれもかなりの僅差だった。上がり1位の末脚を繰り出して着外に負けたのは、タップダンスシチーが押し切ったレースでポツン最後方のツルマルボーイだけ。このレースはほぼ4角の通過順位どおりにゴールしたけど、上がり2位のリンカーンはしっかり後方から3着まで追い上げている。


GIに限らず、重賞まで範囲を広げると見通しがよくなる。直線の長いコースの中長距離戦はどれも軒並み上がり1位の馬の成績が良いけど、それを圧倒的に上回るのがステイヤーズS( 9 4 0 2 )と阪神大賞典( 10 3 5 0 )の2つなのだ。菊花賞や天皇賞とも少し性格の違うスタミナレースの耐久力勝負。宝塚記念は、たった2200の距離ながら、これらの超長距離戦と似た特徴を持っている。
ただし、宝塚記念でステイヤーを買っておけばいいと言っているわけじゃない。ツルマルボーイやドリームジャーニー、上がり2位まで含めればショウナンマイティやスイープトウショウなど、マイルGIで活躍した、決して長距離向きではなかった馬もカウントされているからだ。宝塚記念はあくまで中距離戦。それでいてしっかり脚を溜めて、阪神の最後の坂を越えて追い込んでくる脚が要求される。