天皇賞・秋

今回は人気サイドがみな先行できる馬なので、この出方次第で展開が大きく変わる。イスラボニータは早めに抜け出した日本ダービーが痛恨の取りこぼしだったので、今回先に仕掛けたくはないはず。ジェンティルドンナも一緒で、去年のこのレースではトウケイヘイローを追いかけすぎてしまったし、ジャパンCも他馬の目標にされて格下にギリギリまで詰め寄られた。両馬とも今回テン乗り。できるだけ追い出しを待って警戒しあう可能性が高いように思える。


前のマークが甘くなるようなら、ハナに立つであろうカレンブラックヒルが面白いかもしれない。
2年前のこのレースでは大逃げしたシルポートから離れて実質自分が馬群を引っ張る形になり、キレ味勝負の追い比べのいい目標にされてしまった。それでも0.4秒差5着に入線して地力の高さは十分見せていたと思う。古馬になってからもマイラーズCの4着はかなり強い内容だった。
この馬の持ち味は何といっても強烈な二の脚を使うこと。一旦後続に追いつかれた後でそこから突き放して振り切るという離れ業をこれまで何度も見せてきた。よほどのキレ味勝負になってしまえば別だけど、この馬の本来の実力は東京や京都のような長い直線コースでこそ活きると思う。 
しばらく不振が続いたけど、今年はダービー卿CTを勝って復調気配。不良馬場の安田記念でも内の馬場の悪いところを先行する厳しい展開だったけど大崩れせず、最後はむしろ差し返してきていた。前走休み明けのオールカマーをプラス12キロで逃げて0.2秒差7着。1800の毎日王冠よりは2200のオールカマーを叩いた方が良いという理由でこの天皇賞にしっかり狙いを定めてきた。昔は距離不安も囁かれたけど、スピードで飛ばしまくるタイプでもないので現状ではこれくらいの距離の方が合いそうな気がする。最終追い切りでは自己最高記録を更新して調子はかなり上向き。後続を少し離して逃げるような展開になればアッと言わせるシーンがあるかも。


◎カレンブラックヒル
○スピルバーグ
▲イスラボニータ
△デニムアンドルビー
△フェノーメノ


人気サイドの古馬は休み明けばかり。フェノーメノは元々休み明けも左回りも望むところだけど、今年は日経賞で全く走らず、天皇賞もホッコーブレーヴに詰め寄られるなど内容は去年とは雲泥の差だった。ジェンティルドンナ、エピファネイアも休む前の時点で良かったころの勢いを感じさせない負け方。過去に直行ローテで天皇賞を勝ったシンボリクリスエス、メイショウサムソン、ブエナビスタが頭一つ抜けた地力と安定感で1番人気に押されていたのと比較すると、どうしてもみな格が劣る気がしてならない。
イスラボニータはしっかり休み明けを完勝してきて好印象だけど、古馬相手に人気を背負ってマークされること、イレこみ癖があるのに外枠が当たってしまったことは多少不利に映る。


それならむしろ内枠のスピルバーグあたりが気になる。思ったより人気してしまったけど、近年の天皇賞は毎日王冠で鋭い末脚を見せた馬が毎回本番で好走しているので侮れない。
あとはいかにも穴臭いのがデニムアンドルビーか。ジャパンC2着はマグレかと思ったけど、大外に持ち出したヴィクトリアマイル、内で好位から進めた宝塚記念は地力強化を感じさせた。秋の天皇賞はとにかく牝馬の好走が目立つ。エアグルーヴ以降の牝馬の天皇賞成績は(4, 3, 3, 10)。着外の10回の内訳も4着3回、5着2回、6着1回など、ほとんど崩れていない。パッと思いつく一線級の牝馬以外でも、オウケンサクラ、スティンガー、ポジーあたりまでちゃっかり掲示板に載っている。デニムアンドルビーが内を掬って伸びてくるシーンは警戒しておきたい。