オーシャンS

春の中山1200は非常によく荒れる。
一つには、2月の東京1400や京都1200とのコース形態の違いがあるだろう。東京・京都がスローになりやすいのとは対照的に、このコースではスタート地点が下り坂なのでハイペースになりやすく、東京・京都の実績がアテにならない。
だが意外なことに、実際に人気で飛んでいる馬の多くは、年末年始の中山1200で勝ち負けした馬たちなのだ。「中山1200はベスト」という触れ込みで人気を集め、そして負ける。


今回で言えばアイルラヴァゲインがカモ候補筆頭。
確かにサンライズSは異常に強かった。昔マーメイドSを勝ったときもそうだったが、ハイペースで早めに馬群から抜け出してしまえば後続を全く寄せ付けない。
だが競り合いになると案外大したことはなく、内枠に入ると一度も連対したことがない。基本的に揉まれ弱い馬だと思う。中山1200㍍自体は向くはずだが、Aコースで内有利ともなれば各馬がラチ沿いに殺到する。コパノフウジンに外から被せられるこの枠順は最悪と言っていいかもしれない。
さらに付け加えると、サンライズSの上位馬はその後の成績が散々。

  1. アイルラヴァゲイン → すばるS 7着
  2. アドマイヤカリブ → 韓国馬事会杯 8着
  3. ペニーホイッスル → バレンタインS 11着
  4. エアニックス → 韓国馬事会杯 9着
  5. スパイン → 山城S 15着

タイム自体は相当速かったので、上位馬のレベルが低かったというよりは、負担の大きいレースだったのではないかと見ている。またアイルラヴァゲインも大型馬なので斤量を苦にするタイプとも思えず、58.5㌔から56㌔に変わってもそれほど大きなプラスはなさそうだ。他の馬の単勝で勝負したい。


ついこないだ同じコースで勝った馬が、コース実績を評価されて人気を集めて負ける、というパターンは枚挙に暇がない。特に中山で多いように感じる。アイルラヴァゲイン自身も2年前にそれに嵌って1倍台で飛んだ前科者だし、大きなところだと弥生賞の勝ち馬が皐月賞よりもダービーに直結するのが有名な話だ。
理由はさまざまだろうが、「前走で手の内を見せてしまった」ことが競馬にとっては少なからず不利になる、という事実は考えておく必要があると思う。トライアルホースがGIに手が届かない理由もここにあったりする。





シルクロードS上位馬もあまり評価していない。エムオーウイナーに軽く捻られたようにレベルも高くなかった。
中山でも勝ち鞍のあるアンバージャックは人気を集めそうだが、パラダイスクリーク産駒の好成績はそのほとんどが冬に集中しており、典型的な冬馬が多い。暖冬の3月ともなればそろそろ勢いは落ちそうな気配。そもそも重賞をそう簡単にいくつも獲れるほど強そうにも見えないので、これも消し。
京都から中山に替わってプラスが見込めそうなのは、むしろ惨敗したコパノフウジンとスピニングノアール。だが正直言って京都でもそれなりの走りを期待していただけに、前走負けすぎの感が否めない。


結局、ネイティヴハート3度目のオーシャンS制覇を阻む馬が見当たらないという結論に至った。去年一年間にコンスタントに活躍した実績は今のスプリント界でも五指に入る。中山の内有利のコース形態が最大の問題だが、先週はペース次第では外差しも届いていたのでそれほど心配していない。冬に休養してオーシャンSから始動するローテはこれでもう6年目だし、調子もよさそうだ。


◎ネイティヴハート
○コパノフウジン


もしコパノフウジンが馬体を絞って出てきたらオッズ次第で少し単勝を押さえておこう。