札幌記念

このへんまで考えると、今年果敢に連闘してきた牝馬レクレドールの取捨にも見通しがつく。札幌大得意の牝馬とはいえ、この馬の持ち味は洋芝のハイペースの我慢比べ。つまりペースが落ちないクイーンSには向いているものの、スローで「キレ味」が要求される札幌記念ではかなり厳しい。
もっとも去年のヘヴンリーロマンスも、後にスローの天皇賞を制したとはいえ本質的にはキレ味よりもハイペース志向の馬だった。去年の札幌記念は雨によってラスト1ハロンが12.8を要する競馬になったことがこの馬の勝利に繋がった。もし今年同じようなラップになればレクレドールにもチャンスはあるかもしれない。ただ今週の雨は大した事なかったようで、それほど影響はなさそうだ。


同じような理由でエリモハリアーも切る。アンカツとのコンビも、道中の運びがチグハグであんまり好きじゃない。



スローの洋芝でキレ味を発揮できる馬、という条件にピタリと当てはまるのがタガノデンジャラス。去年末からようやく成績が安定し始めて6戦連続連対。オーストラリアTでマチカネキララを交わした末脚は、そう遠くない重賞制覇の瞬間を思わせた。それから中間に一頓挫あったそうで函館記念では明らかに実力を出し切れないままだったが、一叩きした今回は調教でもそれなりに走った。体調1つで上位争い。


だが本命はあくまでアドマイヤムーンにしたい。ダービーでは勝ち馬から0.9も離されて負けてしまったが、当日の馬場からは圧倒的に不利な差し競馬を強いられ、さらに直線で内を突こうとして進路変更を余儀なくされるロスもあった。その肝心の勝負どころで瞬発力を十分に発揮できたドリームパスポートとの差が最後まで埋まらなかったために惨敗に見えたが、最後は後方組の中では唯一伸びてきていて、印象ほど力の差は開いていない。
東京2400から札幌2000へのコース替わりも大きい。今回の対戦相手は歴戦の古馬とはいえ所詮GⅢレベル。洋芝のキレ味勝負という点でも特に不安はない。3㌔のハンデをもらった以上、負けられないところだろう。


もう一頭はグレイトジャーニー。もともと軽い芝のほうが向く馬だが、今年の札幌が時計が出やすいこと、そして珍しくフルゲートになったことで例年より多少はペースアップしそうなことを考えれば、何とか末脚に期待できると思う。同じくフルゲートだった02年には中山記念をレコード勝ちしたトウカイポイントが2着していて、それと少し似た雰囲気を感じる。


◎アドマイヤムーン
○グレイトジャーニー
▲タガノデンジャラス


今週は松田博厩舎を支えた名牝ベガが死亡した。また今日、エンドスウィープ産駒のラインクラフトが急逝した*1。奇しくもアドマイヤとタガノの2頭はともに松田博厩舎のエンドスウィープ産駒。これも何かの縁かもしれない。