新潟大賞典

01年の新潟回収以降のこのコースの全ての出走馬の成績を馬体重別に並べると、馬体重420キロ以下では勝率わずか4%しかない。しかし420-459キロでは6%、460-499は勝率7%、500-519は8.7%、520-539は12%、そして540以上では13%に達する。つまり見事に重い馬ほど強いという傾向が出てくる。オースミグラスワン、トランスワープ、アデイインザライフ、ユールシンギング、パッションダンスなど、他場ではキレない巨漢馬たちが新潟では豪快に末脚を伸ばしてくる。直線入り口の下り坂で加速して、そのまま止まらずに伸び続けることがこのコースで勝ち切る重要なポイントで、馬格があることはその点で大きくプラスに働くと思われる。


しかしこの中で良馬場のレースを除いて、さらに500万以下の下級条件を除くと、全く逆の傾向が出てくるから面白い。439キロ以下では勝率17%、440-459では9.7%、460-479では8.5%、480-499では4%、500-519では6.5%、そして520キロ以下の馬は15戦して馬券圏内ゼロ。つまり新潟で道悪になると、傾向は一変。巨漢馬は不利なのだ。道悪だと巨漢馬は最後までスピードに乗れないまま直線600メートルを過ごしてしまうのではないかと思う。
そして道悪になってもう一つ出てくる傾向は外枠の圧倒的不利。6,7,8枠は勝率2.6%台の回収率13%しかない。新潟だと直線が長い分普段から横いっぱいに広がった形になりやすく、さらに直線競馬も毎日行われているので、外だけが馬場が良い状態を保つことはほとんどない。道悪で大外に持ち出す作戦は、勝負所で距離をロスする分だけ圏内から外れてしまう危険性が高い。
つまり道悪の新潟2000では、内目の枠からしぶとく伸びる小柄な馬が狙い目ということになる。


本命はサンデーウィザード。ネオユニヴァース産駒は道悪で成績が上がる馬が多く、この馬も道悪では崩れていない。条件戦で長く燻っていたけど年明けから本格化。前走は前が残る展開で人気を裏切ったけど、今度は道中置かれることもなく末脚勝負に徹することができそう。


同じ視点から選ぶならパリカラノテガミ。これも小柄で内枠の道悪巧者。前走では単勝91倍、4角16番手の絶望的な位置取りから道悪の前潰れに乗じて一気に突き抜けてみせた。展開に恵まれたとはいえ最後の1ハロンで他馬と全く違う末脚を見せたのは見事。もともとそこそこ堅実に追い込んでくるタイプで、昨年秋は絶不調、前々走の大敗は休み明けの部分もあったと思えばもう一丁があってもいい。今回もペースは別にして同じような条件が揃う可能性はある。小柄なこの馬にとって53キロもいい。
最低人気ウインインスパイアも枠はやや外目だけど小柄で道悪巧者。最近は全くいいとこなしの競馬が続いているけど追い切りは動いたようだし、新潟でしぶとく伸びるタニノギムレット産駒だしここで化けないか。



◎サンデーウィザード
○パリカラノテガミ
▲ウインインスパイア
△ロンギングダンサー
△トルークマクト
△レッドソロモン




ロンギングダンサーは新潟( 2 0 2 2 )で重賞でも4,6,3着と崩れておらず、10週以上空くと( 4 1 1 3 )で休み明けでこそ走るタイプ。今回は連敗して人気を落として間隔を空けての新潟で、いかにも買い材料が多い。
最初は本命にしようかと思ったけど、この馬は去年冬から転厩している。前所属の勢司和浩厩舎は2010年以降、10週以上の休み明けでは連対率14%、回収率88%と良い数字を残していたけど、現在の田村康仁厩舎は同条件では連対率10%以下で回収率28%と、間隔が空いたレースの成績が極めて悪い。転厩によってこの馬の鉄砲駆けの性質が失われている恐れがあってヒモまで。


最内トルークマクトも拾うか。溜めればキレる馬だし、江田照男が怖い。特に重賞での穴は道悪でこそ演出する騎手である。あとは枠が外だけどレッドソロモン。土曜のこのコースでもメイショウサムソンがワンツーを決めていたように、道悪ならサドラーズウェルズ系の出番かも。

NHKマイルC

うーん、難しい。土曜のプリンシパルSが1.58.3.ダイワキャグニーが強かったというのもあると思うけど、やはり春の府中らしい高速馬場。外を回して豪快に追い込めるような馬場状態ではなさそうだ。ハナに拘るタイプもいないけど、前はそれほど簡単に止まりそうにないし、どの先行馬も勝つ気だろうから、それなりにペースは流れそう。となると東京マイルでもG3までによくあるスローの瞬発力勝負ではなく、GI仕様のスピード比べになりそうな気配。


最初はタイムトリップ、アエロリット、プラチナヴォイスあたりで悩んでたけど、どれもイマイチしっくりこず、結局本命にするのは諦めてしまった。コース実績のあるアエロリットは最近の出遅れ癖と外枠が気になるし、それ以外の有力馬や末脚自慢はどれも高速の東京マイルには向かない気がしてきた。


となると先行馬から大振りしてみるか。連勝馬券の売れ方で見ても、混戦模様の伏兵と目されているのは11番人気まで。それより人気薄が絡めば一気にオッズが跳ね上がる。


本命はタイセイスターリー。ミッキーアイルの半弟で実はアエロリットともいとこ同士。マンハッタンカフェ産駒はジョーカプチーノ、ショウナンマイティ、レッドディザイアにクィーンズリングなど、高速馬場のGIで結果を出す馬が多い気がする。ヒルノダムールも大阪杯レコードホルダーだし。
新馬戦でなかなか強い勝ち方をして以来これまで4戦、メインストリートを歩んできてそれなりに人気を集めていたけど、ここに来て人気急落した。しかし後ろから進めたシンザン記念では一応ペルシアンナイト以下に先着して2着に入ってるし、共同通信杯ではかかって道中からハナを奪う展開ながら最後まで見せ場を作っての4着。ニュージーランドTでは超スローからの瞬発力勝負に対応できず7着に敗れただけで、どれもそれなりに注釈がつけられる。かかり気味に行きたくなる馬なので、ハイペースの東京マイルで変わり身が見込めそう。ボンセルヴィーソ、ジョーストリクトリを見ながら流れに乗って3,4番手のベストポジションを確保できれば大穴の使者になるかも。


◎タイセイスターリー
○ディバインコード
▲プラチナヴォイス
△タイムトリップ
△ボンセルヴィーソ
△アエロリット
△カラクレナイ


ボンセルヴィーソがそこそこ粘りそうだから、これを目標に動くタイセイスターリーとディバインコードが有利で、後ろは届きにくいという想定。特に内側に溜まった末脚自慢は交通渋滞を起こす可能性はある。
ただデムーロの前は毎回必ず開くので、カラクレナイまで拾うか。