菊花賞

まともに馬券買い始めて6年目になるが一度も菊花賞を獲ったことがない。全馬にとって未知の距離適性、読みにくいレース展開、夏を越して変わりつつある実力関係。予想の段階でこの3つのハードルを全てクリアするのは至難の業だ。
ということで、こういった細かなファクターを完全に無視できるシンプルな傾向を探してきた。各馬の実績は一切関係なし。見るべきは唯一、「前走との馬体重差」である。


競馬では基本的に、馬体重は「プラス」の馬のほうが「マイナス」の馬よりも成績が良く、馬券的にもおいしい思いをさせてくれることが多い。特に3歳戦でこの傾向は顕著に出る。これはもちろん「成長分」によるもの。馬体が成長して過去の戦績以上の能力を発揮してくれれば、当然馬券的な期待値も大きくなるわけだ。
以下のデータは菊花賞の施行時期が変わった00年以降のものを集めた。これは菊が馬券的に荒れ始めた時期ともおおまかに一致している。

前走との馬体重差
  • -10キロ以下・・・0% ( 0 0 0 4 )
  • -9〜-4キロ・・・14% ( 2 2 1 22 )
  • -3〜+3キロ・・・44% ( 1 3 4 37 )
  • +4〜+9キロ・・・326% ( 3 1 1 25 )
  • +10キロ以上・・・300% ( 1 1 1 12 )

右には単勝回収率と戦績を示した。
馬体が増えているほうが期待値が圧倒的に高い。
この体重差が各馬の「成長分」に由来していることは、各勝ち馬を見てみるとよくわかる。馬体を増やさずに菊を勝ったのはディープインパクト、ザッツザプレンティ、エアシャカールといった、ダービーで活躍していた既存勢力。これらの年は2〜3着にも春の実績馬を連れてきている。一方、馬体重+4キロ以上の勝ち馬はソングオブウインド、デルタブルース、ヒシミラクル、マンハッタンカフェといった上がり馬ばかり。


つまり、近年の菊花賞は完全に2つのパターンに分けることが可能なのだ。

  1. 春の既存勢力が勝つ = 馬体重変動なし
  2. 上がり馬(穴馬)が勝つ = 馬体重+4キロ以上


穴党としては当然、上がり馬が勝って荒れやすい後者の結末を予想したい。ということで、当日の馬体重発表を待って、「目方を増やしてきた上がり馬」を買うことにする。
ちなみに、メイショウサムソン、ハーツクライ、ダンツフレームなど、春の実績馬が馬体を増やしてきたケースは例外なく人気して飛ぶ。春のクラシックの時点で名の売れていた馬はかえって馬体を増やさないほうが狙いやすい。



「馬体重+4キロ以上」に絞るだけで単勝回収率は300%を超えるわけだが、それでもまだ玉石混交、いらない馬は多い。ここからさらに買う価値のある馬を選別する方法を考えよう。
過去の例を個別に見てみると、ソングオブウインドは秋2戦目で+8→+4と着実に成長して菊を迎えた。デルタブルースは+4→-2→+10と菊本番で一気の大幅増。ヒシミラクルは夏場も休みなく走り続けながら+10→±0→+4と馬体を増やしてきた。マンハッタンカフェは8月の札幌で+46という歴史的急増を見せた後、さすがに-2→-10と絞りはしたが、菊花賞当日にはしっかり+4で出走している。
つまり、いろんなパターンはあるものの、「近走通して増加傾向にある馬」を選ぶ必要がある。「前走で減らした分を戻しただけ」の馬では意味がない。今年で言えば、アサクサキングスが少々馬体を戻してきたくらいでは成長分とは考えられない。


とりあえず、近走馬体重の増加が目立つ馬を何頭か挙げておく。馬体が増加傾向にあるなら、各陣営は菊本番に向けて馬体を絞ろうと強い追い切りを課してくるはず。その調教に耐えてなお馬体を増やしてくる馬がこの中にいたとしたら、その馬の成長力を買う。

アルナスライン

過去4走が馬体重-10→+10→-16→+10。いくら大型馬とはいえ馬体重の変動が激しすぎる気はするが、それでも長期休養明けの京都大賞典で大幅馬体増しながら3着という実績は、この世代ではかなり高評価を与える必要がある。しかも思ったより人気してない。もし本番でまた-10キロとかなら消し。+4キロ以上なら本命候補。

ホクトスルタン

横山典騎乗の逃げ馬というだけでも一瞥の価値はあるが、ここ3走で+10→+6→+8と馬体をどんどん増やしつつ出世してきた点も注目に値する。もしこれで本番でも増やしてくるようなら外せない。

ローズプレステージ

最大の惑星。ダンスインザダーク産駒で母系も超一流。菊花賞3着馬の兄を持つ。京都戦績( 1 3 0 0 )。折り合いに不安なし。京都2歳Sと京都新聞杯で2着なのだからファストタテヤマ級の活躍はあってもいい。そしてここ4走で+6→+2→+6→+8と着実に馬体を増やし続けてきている。さらなる成長があれば、もしかしたら・・・。

ロックドゥカンブ

デビュー以来4戦で+14→±0→+12。南半球産だけあって今が大きく成長する時期。でも1番人気だけに妙味なし。柴山のGIってのもビミョー。せいぜいヒモ。

ベイリングボーイ

一応馬体は増え続けている。だが距離を短縮するほど成績を上げてきた馬でもあるので、さすがに手は出ないか。




こいつら以外にも本番で+8〜くらい増加してきた馬がいたら要警戒。