京阪杯

今年の古馬短距離重賞路線は、前半戦では「準オープンを勝てれば通用」、サマースプリントシリーズでは「1000万を勝てれば通用」という流れが存在した。
これが秋頃からまた少し変わってくる。セントウルSのシーイズトウショウ、スプリンターズSのメイショウボーラー、スワンSのプリサイスマシーン&シンボリグランなど、実績馬が活躍するケースが目立ってきたのだ。特にスワンS組はシンボリグランとプリサイスマシーンの2頭がマイルCSでも3着,6着と健闘した。掲示板に乗った顔ぶれを見ても、このレースはGⅡだけあって短距離重賞としてはなかなかのレベルだったと言える。


このスワンSで好スタートから先行し、0.4秒差の6着に粘ったタマモホットプレイが今回の本命。馬体重プラス20㌔は明らかに重かった。もっと後方から脚を溜める作戦もあったはずだが、早め早めに動いたのは次走のスプリント戦を見越してのことだろう。この一年、良馬場なら常に上位の上がりを繰り出して堅実に走るようになった。1200でもペースが落ちて末脚勝負になりやすい京都コースはこの馬にとって最適の舞台。メンバーの実力もスワンSからは2枚落ち。ここは実績馬として地力の高さを見せる場面だ。


相手も同じく実績馬リミットレスビッド。この馬も時計勝負に不安があるため、末脚だけで勝負できる京都1200を待ちに待ったタイプ。好走必至。


◎タマモホットプレイ
○リミットレスビッド


この2頭にとって追い風となるのは「斤量」。特にタマモホットプレイは斤量の影響を非常に受けやすいタイプなので、56㌔はかなりの好条件だ。
全25戦のキャリアの中で、斤量56㌔以下のレースのみをピックアップしていくと、

  • 新馬戦・・・1着
  • 千両賞・・・1着
  • シンザン記念・・・2着
  • スプリングS・・・8着
  • ベンジャミンS・・・9着
  • 青函S・・・1着
  • 札幌日刊スポーツ杯・・・4着
  • スプリンターズS・・・8着
  • スワンS・・・1着
  • アンドロメダS・・・2着
  • シルクロードS・・・1着

このように( 5 2 0 4 )と素晴らしい成績になる。逆に57㌔以上だと( 0 0 0 14 )で、掲示板に乗ったのがたったの一度だけしかない。
56㌔以下で着外になった4戦を見てみると、スプリングSとベンジャミンSは1800㍍なので距離不適。GIスプリンターズSは苦手の不良馬場。札幌日刊スポーツ杯は前走から斤量3㌔増と決して恵まれた条件ではなかった中で0.1秒差の4着だった。
つまり「斤量56㌔以下」「距離マイル以下」「良馬場」なら、その戦績はほとんどパーフェクトと言ってもいい。そしてこれらの要素のうちどれか1つでも欠けると全く馬券対象になっていないことになる。


近走では苦手の57㌔でも重賞で僅差の接戦を演じるようになった。今が充実している証だと思う。そして今回、斤量減、距離短縮、得意の京都コース、相手弱化と、考えうる最高の条件が揃いつつある。あとは馬場が悪化せず、馬体が絞れていればロイヤルストレートフラッシュじゃないか。
もしここを勝って重賞3勝目を上げた場合、今後56㌔で出走するチャンスはほとんど無くなるはずで、最後の勝ち鞍になる可能性もある。負けられない一戦。




最後に、イースターの取捨について。ワンモアチャッター、アサカディフィート、ペールギュント、ケイアイガードといった重賞級中距離馬と渡り合ってきた実績から、レベル的にはこの路線なら通用しそうな気はする。
だが、父エルコンドルパサーの種牡馬としての成績を改めて見直すと、距離が伸びれば伸びるほど勝率も回収率も上がっているのに気づかされる。トウカイトリックに続いてソングオブウインドまで輩出したエルコンドルパサーは、現状では「長距離種牡馬」以外の何物でもない。距離短縮の好走例も少なく、1200は基本的に合わないのではなかろうか。