菊花賞

もうジュンヴァルカンしか見えなくなった。
中距離で勝てないまでも堅実な成績を続けてきて、距離伸びて春以降に素質開花した、まさに菊花賞で馬券になりそうな上がり馬。2000ではマイネルハニーに出し抜かれたりしていたものの、阪神2400のアザレア賞では差してくるヴァンキッシュラン相手に一歩も引かなり走りで後続を突き放したし、続くあずさ賞も先行して上がり最速の末脚を繰り出して圧勝、三田特別では逃げ粘るヤマカツライデンをただ一頭捕らえ切って快勝した。長距離戦を先行して最後まで衰えない息の長い末脚を持っている。
時計勝負にはかなり強そうで、2400の走破時計2.25.9、2.25.5はいずれもスローの500万条件とは思えないほど優秀。さらに阪神2200でマークした2.10.8は、1000万条件ながら多くの宝塚記念を上回って歴代2位の好時計。今年夏の阪神開催は開幕週こそ高速馬場だったけど、2週目は雨も降っていて他のレースを見る限りそれほど時計の出やすい条件ではなかったと思う。淀みないペースで逃げたヤマカツライデンがそのまま押し切ろうとする流れを力強く差し切ってこの時計をマークした実力は本物。まさに高速の淀長距離GIの穴馬に相応しい。


ネオユニヴァース産駒は中山巧者が多いけど、サウンズオブアース、デスペラード、ユニバーサルバンクなど京都にも長距離戦にも高い適性を示す馬が多いし、鞍上も大舞台では天才的センスを発揮するGIハンター。外枠が少し嫌だけど、デムーロ騎乗の8枠17番と言えば、奇しくも13年前の菊花賞で三冠を懸けて挑んだ父ネオユニヴァースと同じ。友道厩舎は先週三冠全て2着だった姉の無念を妹が晴らしたばかりだけど、次は三冠にあと一歩届かなかった父の無念を息子が晴らす番が来たのだ。
一番の問題は神戸新聞杯を使えずぶっつけ本番になってしまったことだけど、踏み込みが強すぎることによる「クモずれ」という僅かな外傷のせいであって体調に不安はなく、調教も休んでいない。一週前には坂路で自己ベストを更新、秋華賞馬ヴィブロスを圧倒するほどの良い動きを見せていたので結果的には間隔を空けたのが良かったんじゃなかろうか。




人気の2頭はかなりの強敵だけど、いずれも父はディープインパクト。産駒デビューから僅か7年でGI32勝を含むトータル1000勝以上を上げた最強種牡馬であるにも関わらず、3000以上の距離では重賞以外も含めて( 0 8 5 34 )で一つも勝っていない。
ちなみにキングカメハメハも3000以上では( 1 2 0 27 )と決して長距離向きではない。今年のクラシック戦線はこの現役2大種牡馬が上位を独占してきたけど、主要レースでの時計を見ても、古馬との対戦成績を見ても、距離が延びるほど大したことなくなっている。クラシック戦線最後の長距離戦で新たな主役が登場する可能性は十分ある。


◎ジュンヴァルカン
○ディーマジェスティ
▲サトノダイヤモンド


いろいろ悩んだけど相手はやはり人気2頭か。圧倒的な春の実績と、きっちり前哨戦を勝ち上がってきた臨戦過程を評価したい。ジュンヴァルカン以外の穴馬はどれも今一つ手が出ない。
2強の評価ではディーマジェスティを上にとる。サトノダイヤモンドの神戸新聞杯は時計面で見ても上位2頭以外はかなり低レベルだったという印象。長距離GIのルメールもあまり信用できない。好枠からエピファネイアのような積極策でレースを支配できればいいけど、内枠が仇になって負けたゼンノロブロイのようなケースもある。
一方のディーマジェスティの鞍上蛯名は京都長距離戦で最も頼りになる騎手。馬も左回りより右回りのほうがスムーズに加速できているように見える。何よりこれまでのレースぶりから、直線後半、特に坂を上り終わってからグイグイ伸びるのがこの馬の特徴だと思う。右回り平坦の京都外回りなら、長い直線をフルに使ってこれまで以上の伸びを見せてくれるかも。



◎○の馬連を本線にして、あとは◎頭固定の馬単と三連単で勝負したい。