宝塚記念

難しいけど予想しがいのある面白いレース。人気馬が軒並み消し材料がある、それもヒモで押さえる必要すらない気がしてきたので、俄然やる気が出てきた。

宝塚記念有馬記念と性質が似ていることで有名。非根幹距離、短い直線と急坂、重めの芝といったコース形態や、シーズン最後の消耗戦というグランプリとしての立ち位置も似ている。ただし夏と冬という開催時期は大きく違う。そのせいか、宝塚記念は大型馬が苦戦して小柄な馬が来る傾向にある。2010年以降、459キロ以下の馬は有馬記念では( 0 2 0 23 )でほぼ馬券圏内に入っていないものの、宝塚記念では( 2 3 4 22 )と人気薄含めて好走している。一方で500キロ以上の馬は有馬記念では( 6 6 5 51 )と活躍しているけど、宝塚記念は( 3 3 3 42 )。数字はゴールドシップの2連覇に助けられているものの、キタサンブラックサトノダイヤモンド、サートゥルナーリアのように人気馬が圏外に沈む例の方が目立っている。「夏は牝馬」の格言もあるように、夏場は小柄な馬の方が強い。実際最近の宝塚は牝馬が3連勝中だけど、むしろ象徴的なのは、近年の最強馬候補に挙げられるドゥラメンテキタサンブラックの2頭がマリアライトに金星を献上した16年の方かもしれない。

あともう一つ、両グランプリの大きな違いは、最後の直線勝負の比重。宝塚記念の上がり最速馬は2010年以降、( 8 5 0 0 )で全連対。00年まで遡っても( 12 10 0 1 )で連対率96%。有馬記念の方は( 4 3 0 7 )で連対率は50%に留まるけど、これは有馬記念の方が自然な数値。宝塚記念のような高い数字は本来3000級の長距離レースの特徴であって、それに類似する厳しい耐久力勝負のレースになりやすいということ。生半可なスタミナでは押し切れない。それに比べると、有馬記念はペースが落ち着いたり、内を綺麗に回るかどうかといったコーナーワークで何とかなる。

さらに今年の宝塚記念はかなりの高速決着になりそう。そのあたりまで踏まえて考えたい。

 

まずエフフォーリアは消し。元々堅実で隙の無い馬が、前走突然見せ場なく大敗していきなり復活するかはかなり疑問で、一番人気となれば嫌うしかない。520キロ級の馬体もこのレース向きではない。調べてみるとエピファネイア産駒全体でも、芝のオープン戦全13勝のうち、5-9月の5か月間ではデアリングタクトのオークス1勝のみ。その父シンボリクリスエスを見ても基本的には冬型血統と思った方が良さそう。ついでにデアリングタクトも消し。3歳時の強さは無いと思う。

パンサラッサも消すか。去年の有馬記念で本命に推したくらいのお気に入りの馬だけど、この馬が最近勝てば勝つほど、距離の壁が明確にあるタイプだなという印象を受けた。上に書いたように宝塚記念は末脚勝負になりやすく、タップダンスシチー並みに後続を力で振り切るシーンはちょっと想像しにくい。あとそこそこ人気してるので、有馬記念の時ほどのお楽しみ感が無い。捕まってしまえば脆い。

タイトルホルダーはどうだろう。天皇賞・春の一方的な勝ち方はとにかく衝撃的だった。菊花賞5馬身、天皇賞7馬身の圧倒ぶりと他のレースを比べると、やはりステイヤー資質が相当高いということ。それ自体は宝塚記念にはむしろいいんだけど、問題は逃げたレースが5戦5勝、逃げていないレースは5戦5敗という極端さ。今回はパンサラッサがいる以上どうやってもハナには立てないだろう。パンサラッサが大逃げして実質単騎逃げの形に持ち込める可能性もなくはないけど、他にも前に行きたい馬がいるし、前走圧勝したことによる他馬からのマークもある。そもそもパンサラッサが本当に大逃げするかも怪しい。有馬記念の時とは騎手が違うので、少なくとも前半は異常なラップにはならないと思う。そして高速馬場適性への疑問。これだけ不安要素が重なるとここは軽視せざるを得ない。

 

人気馬の中で唯一消せなかったのがディープボンド。現役屈指のステイヤーだけど、この馬の出世レースは3歳時に2.11.7の好時計で先行して押し切った京都新聞杯。とにかく長い脚を使えるタイプなので、阪神2200の耐久力勝負への適性は高そうな気がする。ただエンジンのかかりの遅さが難点で、得意の3000超ですら手応えの悪さに冷や冷やさせるレベル。有馬記念2着は内がぽっかり空くコーナーワークに随分恵まれたと思う。今回は外枠で、メンバー的にもいつもよりやや後方の位置取りから、外を回して差す横綱競馬が求められそうな展開。それで勝ち切るまでいくかどうか。他が全部バテてこの馬だけが伸びるくらいの耐久力勝負になれば勝てそうだけど、高速馬場だしそこまで極端な前潰れにはならないのではないかと見ている。

 

じゃあ頭候補はどうしよう。ある程度の位置で流れに乗ってそのまま直線で強力な末脚を繰り出せる馬がいい。

ハマった時に上位人気馬をまとめて倒して1着でゴールする期待を感じさせるのはウインマリリン。ここ2走とも2秒以上大敗しているけど、体調が整っていなかったのは明白なので度外視。オールカマーの時の強さをどれだけ取り戻しているかにかかっている。オールカマー日経賞の2戦で見せた直線での瞬発力を見ると、順当に出てくれば有馬記念でも本命視したいくらい。当然宝塚記念でも期待しないわけにはいかない。高速馬場適性も、2年前のエリザベス女王敗で外マクリ展開で追い込み馬が上位を占める中で唯一内の先行馬として抜け出して2.10.7で4着に好走していて、道悪で負けることの方が多い。一週前の追い切りでは馬なりで自己ベストをマークした様子。阪神への輸送の不安も一週間前からの栗東滞在で対策済み。人気の全く無いここで復活してほしい。

もう一頭、アリーヴォからの馬券も買いたい。元々小倉のロングスパート戦を得意としていて、小倉で5戦5勝、2000で1.57.5の勝ち時計もある馬。当時は僅差で勝ち上がる根性タイプだったけど、2走前の初重賞挑戦した小倉大賞典で大外を回して楽勝して、その後は一気にGIに挑戦して3着。それも先行馬がそのまま雪崩れ込む展開の中で唯一後方から差し込んできたのがこの馬だった。4歳を迎えて一気に急上昇していて、まだまだ伸びしろがありそう。鞍上の武豊阪神2200は大得意コース。

 

あとはオーソリティ。前走シャフリヤールより人気してたわりにはここは人気を落とした感じ。実績的に東京向きの印象だけど、単なるめぐり合わせと言うか、オルフェーヴル産駒全体も小回り向きの馬の方が多いと思う。今回枠もいいし、騎手もいい。今年ルメールはあまり勝ててないけど、大荒れの続くGIで1番人気に一度も乗らずに( 1 4 0 3 )は立派。ルメールは人気薄の方が怖い。ちょっと馬体が重いのが嫌だけど、人気薄だし、青葉賞を好時計で勝っているので夏場でもOKかも。

 

大阪杯1,4着のポタジェとヒシイグアスも持ち時計も十分なので気になるけど、ポタジェは前走で運を使い果たした感じ。今回は大外なので位置取りも難しく、この馬が外から差してくるイメージは湧かない。ヒシイグアスは連勝中の頃の勢いがあれば重い印を打っても良かったんだけど、あの当時の前を必ず捕まえようとする闘志が今は薄れているようで、念のための押さえまで。

大穴でステイフーリッシュまで押さえるか。夏の阪神2200に強い小柄なステイゴールド産駒。直近の海外で2連勝していて勝ち癖を掴んでいる。そして何より、3歳時に京都新聞杯を2.11.0の時計で押し切っていて、目黒記念でも2.29.8の高速決着を先行馬最先着の3着、そして去年の京都記念でも2.10.6の時計でラヴズオンリーユーの2着と好走しているという、非根幹距離の高速馬場での堅実さに注目したい。堅実なのでGIIだといつもそこそこ人気してしまって、しかも勝ち切れないので馬券で狙いにくい。大きく人気を落とすGIで馬券にしたい。

 

◎ウインマリリン

○アリーヴォ

オーソリティ

△ディープボンド

△ヒシイグアス

△ステイフーリッシュ

 

人気薄ばかりで頭数もそこそこ絞れたので、◎からと○からの2パターン。