愛知杯

中京2000は内枠有利の傾向が強く、2010年以降の準オープン以上のレースでは1枠と2枠の勝率はいずれも10%を超えていて、それ以外は4-7%台に留まっている。ただしこれは良馬場でのもの。道悪になった途端に傾向はガラッと変わって、1枠の勝率は5%台に落ち込み、代わって6,7,8枠が16%, 7%, 10%の勝率を示すようになる。今日は午前のうちにそこそこ雨が降るようなので、内の人気馬をざっくり消して、外から勝負してみても良いかもしれない。特にマリアエレーナは56.5キロの酷量を背負うには馬体が小さすぎるし、重ハンデの馬には内枠がかえってマイナスに働くことも先日考察した通り。

外の有力馬と言えばルージュエヴァイユ。素質は十分高そうだけど、脚質的にもいかにも少頭数向き。長い直線の末脚勝負か、よほど前潰れになれば別だけど、人気を背負ったここは押さえまで。

 

本命は大外アブレイズ。500キロ級の馬体の持ち主で、56キロはすでに4度経験があり、昨年の中山牝馬S2着、前走ターコイズSでも0.2秒差4着とほぼ苦にしていない。時計のかかる中山中距離向きという印象が強かったけど、昨年秋から府中牝馬Sでも0.2秒差5着、秋の天皇賞でも0.8秒差10着に健闘するなど、苦手なコースでも活躍し始めたのはよほど調子が良い証。前走ターコイズSのマイル戦でも善戦していて、距離延長したここが本番。荻野極はリーディング下位騎手だけど、力のある馬に乗った時の勝率は悪くなく、回収率はむしろかなり高い。

 

◎アブレイズ

○アイコンテーラー

▲ルビーカサブランカ

△ルージュエヴァイユ

 

 

フェアリーS

2022年のリーディングサイアーランキングは11年連続でディープインパクトが1位を守った。しかしディープ自身は2019年に死亡してしまったためにラストクロップとなる昨年デビュー組は頭数が非常に少なく、2歳リーディングサイアーランキングでは圏外に終わっている。その少ない産駒からシンザン記念勝ち馬を出したのはさすがですね。

代わって2歳リーディングサイアーに輝いたのは阪神JFホープフルSを制したドゥラメンテ。2位はエピファネイア。この2頭は2021年の時点で3位と2位だったので順当とも言えるけど、注目すべきは3位に入ったルーラーシップだろう。父キングカメハメハ×母父トニービン×母母父ノーザンテーストという、サンデーサイレンス系以外の近代日本競馬の歴史を詰め込んで生まれた超良血馬も、種牡馬生活はもう7世代目。自身が晩成気味だったし2歳戦から使い倒す血統ではないのだろうけど、2016-2018年が2歳リーディング5位前後だったのが、2019年は11位、2020年は7位、2021年は20位以下で圏外に消えるという下降線を辿っていた。それが2022年は3つの2歳GIすべてで馬券に絡む馬を輩出して、一気に3位へ躍進したのである。

このルーラーシップ産駒3頭に共通するのは全て母父ディープインパクトということ。そして思い返せば2019年、ディープと双璧をなした大種牡馬キングカメハメハもまた死亡している。キングカメハメハはその年は体調不良のため種付け自体を行っていない。そのためディープ産駒の繁殖牝馬で以前ならキングカメハメハとの配合を想定されていた分は、今の3歳世代以降、他の馬に割り当てられていることになる。キンカメ後継の筆頭格と言えば本来ロードカナロアだけど、今のところ父ロードカナロア×母父ディープインパクトの組み合わせでは目立った活躍馬が出ておらず、91頭中でスプリント重賞勝ち馬が2頭いるだけである。一方、ルーラーシップは母父ディープインパクトで生まれた初年度産駒キセキが2017年秋にGI馬となり、特に2018年秋から2019年春にかけてGI戦線で大活躍した。そうすると、2019年春の種付けシーズンでの優秀なディープ系繁殖牝馬のお相手として、ルーラーシップにお鉢が回ってくるのは自然な流れだったかもしれない。

これまでディープインパクトは高い競走実績を持つ繁殖牝馬をたくさん擁しながら、母父としての実績は決して目立たなかった。それは偉大な父サンデーサイレンスをはじめとして同系種牡馬の血が日本に多すぎて、ディープ産駒の名牝たちに付ける種牡馬が限られるといった事情があったと思う。しかしそれも時代の流れと共に変わっていく。昨年はモーリスが母父ディープインパクトでついにジェラルディーナという成功例を出した。別系統からはジャックドールも活躍したし、今後は父モーリス×母父ディープインパクトも増えそうだ。しかし昨年の競馬の影響が次世代の血に反映されるまでは3年かかる。これからしばらくの間、父ルーラーシップ×母父ディープインパクトの血統から今までのイメージを超える活躍が続くかもしれない。

POGに詳しい人ならこういう流れは早い段階で読めてたんですかね。もちろん馬券としても重要である。父ルーラーシップ×母父ディープインパクトの昨年の2歳戦の成績は( 9 6 4 15 )で勝率26%、回収率188%。ひとつだけ5番人気の勝利があるだけでほとんどが1,2,3番人気での勝利ばかりなのにこの回収率は凄い。

 

 

さて今週はフェアリーS。全体的に小粒そうなメンバーの中で、父ルーラーシップ×母父ディープインパクトの2戦2勝メイクアスナッチが結構強い気がする。距離延長組や前走逃げた馬はこのレースあまり成績が良くないけど、母スナッチマインドも近親ラウダシオンもマイルは普通にこなしていたし、ルーラーシップ産駒でスプリンターと決めつける必要もなかろう。むしろ短い距離を経験している分、楽にポジションを取れるかもしれないし、このくらいの枠の方が被されなくて済む。近年このレースは外差し決着が多かったけど、後から振り返ればGI級の馬ばかり。もともとは逃げ馬が強いレースだし、今年は外から差してくるのは結構難しいのでは。相手も内の先行馬から。

 

◎メイクアスナッチ

○スピードオブライト

▲ヒップホップソウル

エナジーチャイム

 

 

中山金杯

430キロ台で58キロを背負うアドマイヤビルゴが1番人気になりそうだったので消して勝負するつもりだったけど、残念ながら回避。さてどうしよう。

とりあえず中山金杯の鉄則として内枠有利。特に7,8枠はあまりに厳しいので、レッドランメルトは消してよさそう。人気もやはり全体的に内枠の馬に偏っている。ただし一昨日の考察によると重ハンデの馬は内枠の成績が悪い。人気のマテンロウレオは内過ぎるし、470キロ台の馬体も57.5キロを背負うには結構ギリギリだと思うので、いっそ消してみようか。

そして前走からの距離の比較。00年以降、距離短縮した馬は( 1 1 2 43 )で勝率2.1%の回収率5%しかない。特に差し馬は絶望的。これでレインカルナティオとフェーングロッテンが消える。

ただし距離短縮組の中でも逃げ・先行馬はそこそこ走っている。距離短縮をものともせずに積極的に好位を取りにいける脚さえあれば大丈夫と言うことだろう。それなら、エリザベス女王杯組でも先行馬ウインキートスとマイルが主戦場のクリノプレミアムは評価を下げなくてもいいかもしれない。特にウインキートスは、6枠と外目を引いたせいか、人気が無さすぎる気がする。G2で4度馬券に絡んだ実績はこのメンバーではトップレベル。鞍上の松岡正海も中山( 2 3 0 6 )の金杯男。ウインキートスとの相性も( 1 0 4 1 )で悪くない。そもそもウインキートスは丹内と津村以外の騎手が乗ったときは( 3 0 5 1 )とかなり堅実で、重馬場で前潰れ展開だった前走エリザベス女王杯以外では馬券圏内を外していない。中山2000ならスタートから1角まで十分距離があるし、6枠から揉まれずに好位に付けられれば地力の高さで押し切れるかも。

クリノプレミアムも面白いと思うんだけど、内枠を引いたせいか人気し過ぎ。デムーロだとなんか出遅れそうだし、マクリ上がるのがこの馬の持ち味だと思うので1枠はかえって走りにくいかも。

ということで相手候補は普通にラーグルフとアラタ。ラーグルフは東京や新潟での強さを中山でも発揮できればウインキートスを差せるくらいの地力の高さを感じる。アラタは時計のかかる洋芝向きで堅実だけど、ピリッとした脚が無くていつもジリ貧。鞍上が替わってどうなるかだけど3番手まで。

 

◎ウインキートス

○ラーグルフ

▲アラタ

 

◎○の馬連が本線で、あと▲3着の三連単2点。