有馬記念

今年もパッとしない予想ばっかりで一年経ってしまった。良い予想だったのは皐月賞くらいだろうか。最後くらい当てたい。今年は中山競馬場まで行ってグランプリ初観戦してきます。

 

 

とりあえず本命は、ジャパンCに引き続き、キセキに決めていた。

もともとこの馬のことはあまり評価していなくて、休み明けの毎日王冠は意外と先行してもいけるんだなと思った程度だったけど、次の天皇賞が強い競馬だった。2頭に交わされたとはいえ、自分でペースを引っ張った上で1.57.0で駆け抜けたのは文句なしに強い。ラチ沿いを頼るでもなかったのに長い直線を通して差し馬と互角の末脚を繰り出した。最後差し馬2頭に僅かに捕まったとはいえ、現役屈指の中距離スピード能力を持つアルアインがぴったり2番手から追いかけてきたにも拘わらず1馬身離したまま完封したのは見事だった。近代競馬の秋の天皇賞で逃げ馬が勝ち負けするのは至難の業。遡ってもニッポーテイオープレクラスニーメイショウドトウなどは雨の重馬場が大きかった。速い上がりが要求される府中2000で逃げて勝ち負けしたのはダイワスカーレット以来の快挙と言っていい。

そして前走、ジャパンC。アーモンドアイの強さと勝ち時計に感服したものの、本当に驚くべきは、アーモンドアイより4キロ重い斤量を背負って、逃げて2.20.9を計時したキセキの方ではなかろうか。2着とはいえあの走りが強すぎたのは、3着スワーヴリチャードとシュヴァルグランに3馬身半差、そこからさらに5着以下には2馬身の差がついていることからも窺い知れる。もちろんジャパンCを逃げて好走するのもかなり難しいことで、86年から15年までは逃げ馬の成績は( 1 0 0 30 )。重馬場の大逃げでタップダンスシチーが逃げ切った以外は勝ち負けにすらなっていない。それだけ16,17年に2年連続で逃げて好走したキタサンブラックが偉大だったのだけど、キセキもそれに匹敵する内容だったと思う。そのキタサンブラックですら、高速決着になった2年目には格下に完敗してしまっている。

有馬記念の逃げ馬の成績は( 4 2 2 28 )で、天皇賞ジャパンCに比べればかなり押し切りやすい条件に替わる。もっとも近年は中山競馬場も馬場傾向が変わって逃げが残りにくくなって、過去10年で逃げ残ったのはダイワスカーレットキタサンブラックしかいない。ハードルは高いけれども、キセキが天皇賞ジャパンCで残したパフォーマンスはこの歴史的名馬2頭に匹敵するものだったのは上記の通り。秋の激走の疲れがどうこうというレベルの馬ではなくなっている可能性が高いと思っている。

そして1800、2000、2400と距離が延びるにつれてパフォーマンスが上がっているところが長距離適性の証。スローの上がり勝負でも戦えるキレ味も有していて、マイペースで行かせると簡単には捕まらない。東京2000ではレイデオロに1馬身屈したけど、距離が伸びて中山なら、今度はキセキに軍配が上がる可能性が高いと思う。

鞍上の川田も今年は好調だった。今年の平地レース全体では勝率と連対率いずれもランキング9位中8人を外人騎手が占めているけど、その中で唯一上位に食い込んでいる日本人騎手が川田で、連対率34.4%の数字は日本人2番手の戸崎27%以下を大きく引き離している。ファインニードルでスプリンターズSを制して以降、重賞( 3 2 3 3 )で、掲示板を外していない。このうち1番人気に乗ったのは2回だけで、他は伏兵ばかりでこの成績。現在GIでは外人騎手が10週連続勝利中だけど、この勢いを止めるのは川田しかいない。

 

 

逆にレイデオロの方は、意外と距離適性が短くて2500ではボロを出すのではないかと思っている。昨年の有馬記念予想でも触れたけど、キングカメハメハ産駒が強いのは2000まで。去年のジャパンCでは直線前半でシュヴァルグランに並びかけようとしたものの突き放されるように完敗したし、タフな展開になった京都記念もかかる仕草を見せてクリンチャーに差し返された。2410mのドバイシーマクラシックでも4着止まり。ダービーを勝っているとはいえ、超スローでマクった異様な展開だったし、3歳限定戦での成績はあまり古馬になってからの距離適性の参考にならない。東京から中山へ替わるのも向かなさそう。

そもそも藤沢和雄厩舎自体が東京向きで中山が苦手。これは昔からずっとそうなんだけど、最近は特に顕著で、東京では去年( 19 23 7 65 )で勝率17%、今年は( 25 7 18 57 )で勝率23%を記録しているのに対し、中山では去年( 3 6 1 31 )で勝率7.3%の回収率25%、今年( 3 7 3 19 )で勝率9.4%の回収率26%しかない。基本的に短距離の方が成績が良い厩舎でもあるので、東京2000から中山2500に替わってマイナス要素しか見当たらない。最近も怒涛の勝利を続けた東京開催が終わった途端、レイエンダ、シェーングランツ、グランアレグリアと人気を裏切ってばかりで勢いもない。

 

 

とはいえレイデオロに先着できそうな馬もキセキ以外あまり見当たらない。マカヒキサトノダイヤモンドシュヴァルグランあたりはとっくに全盛期を過ぎた印象で、中山で上積みがあるような連中でもないし、今更ここで買う気になれない。中山巧者サクラアンプルールも昨年は展開が嵌ればという怖さがあったけど、今年は成績は安定したものの特に見せ場がなく、何か普通の馬になってしまった印象で、外枠も痛い。モズカッチャンは内枠とデムーロは怖いけど、そのデムーロをもってしても札幌記念エリザベス女王杯は大した競馬じゃなかったと思うし、さすがにこのオッズでは手が出ない。

3歳馬ブラストワンピースも競馬が大味すぎる。純粋な末脚勝負よーいドンならともかく、多頭数を捌いて総合力が求められる展開だと来るイメージが湧かない。前潰れの展開になればアドマイヤモナークウインバリアシオンルーラーシップみたいに突っ込んでくるかもしれないけど。新潟では古馬相手に見事突き抜けたとはいえ、530キロの馬体と54キロの軽量という要素が新潟外回りでは大きかったと思う。

 

ミッキースワローはセントライト記念で抜群のキレ味を見せて以来あまりパッとしなかったけど、前走のジャパンCでは後方待機から大外を回すとても届かない展開でグイグイ伸びて5着入線。久々に見せ場を作った。展開の紛れのある中山2500でそこそこのポジションが取れれば、次は勝ち負けに加われるかもしれない。その意味でもが内枠が欲しかったけど、この枠でこの騎手だと重い印は打ちにくくなった。後ろから行くと前走の二の舞になるかもしれないし、かといって早めに仕掛けるとAJCCの時のように最後止まってしまうかもしれない。ただ地力を発揮できればレイデオロを食うシーンまで想像できるけど。

それよりはもしかしたらミッキーロケットの方がいいかもしれない。宝塚記念は低レベルだったとはいえ、3着以下に3馬身の差を付けた上位2頭はなかなかだったと思う。さらに休み明けの天皇賞でも5着入線。高速の府中で1分57秒台の決着の仲、アルアインとハナ差の5着なら上出来。向かない条件で休み明けからこれだけ走れるならかなり状態は良さそうだし、実際坂路の追い切りでは50秒台を記録していて、宝塚記念を勝った今年の夏や全盛期のサトノダイヤモンドに詰め寄った2年前の9月以来の時計だった。キングカメハメハ産駒で距離がどうかわからないけど、この馬は3000級でもそこそこ走ってるし2500なら苦にはしないんじゃないか。宝塚記念有馬記念に相関があるのもよく知られた話で、中山に替わって巻き返す可能性はある。

 

パフォーマプロミスは取捨で悩んだ。東京や京都の広いコースを中心に使われているけど、血統的には中山向きで上積みがありそうだし、枠もいい。ただステイゴールド産駒らしい450キロの小柄な馬で、57キロの斤量が気になる。過去にもデビューから1000万下まで3連勝した後に57キロを背負った途端に1000万条件で3連敗。その後復調してからも57キロの比叡Sでは連対を外し、54キロで日経新春杯を勝った後で56キロの目黒記念では3着止まり、58キロの宝塚記念では見せ場なし。前走56キロで重賞を勝ったけど、次57キロのGIでどうだろう。ステイゴールド産駒がグランプリに強いと言っても、ゴールドシップは馬体が500キロ近かったし、オーシャンブルーは早い頃から57キロを苦にしなかった。ドリームジャーニーは若いころ斤量の重いレースに出るたび惨敗していたけど、徐々に経験を積んで59キロすら克服した後の5歳有馬記念で花開いた。オルフェーヴルは別格として、斤量を苦にする間はステイゴールド産駒は大一番で買いにくい。あとデムーロ弟の成績を振り返ると意外と大したことがなくて、川田の下りで述べた勝率・連対率上位騎手の中にはまるで入っていない。全17勝中11勝が2歳戦だし、兄ほどの怖さがない。 

同じステイゴールド産駒で内枠なら、いっそオジュウチョウサンはどうだろう。競馬の常識を覆す史上最強の障害馬。510キロを超える馬体の持ち主で、63キロを背負って4000メートル走るのに慣れているこの馬にとって、今回の57キロは裸同然。ステイゴールド産駒はシンプルに体重が重ければ重いほど勝率が上がる傾向があって、500キロを超えるステイゴールド産駒を買い続けるだけで回収率が100を超える。この馬の走りを見ていると前の馬を追いかけることに貪欲で、先頭に立てば譲ろうとしない底力のようなものを感じる。どこかで一度負けて勢いが途切れると立て直せないかもしれないけど、勝ち続けたままグランプリまで駒を進めたのは大きい。内枠スタートからキセキを追いかける展開になりそうな今回、レースを作るこの2頭でうまくスタミナ勝負に持ち込めれば、いつの間にか残っている可能性もありそう。

 スタミナ勝負になるならクリンチャーが気になるけど、追い切り時計を見る限り春のデキにはなさそうに見えるけどどうだろう。スタートも速くないので押していかないと好位を取れないし、鞍上も福永なので中山での上手い立ち回りも期待できない。

 

 

◎キセキ

○ミッキーロケット

▲ミッキースワロー

オジュウチョウサン

レイデオロ

 

 

ヒモは馬場も見ながら直前までもう少し考えます。 

レイデオロは心情的に限りなく消しに近い。あっさりジャパンCを回避した件は許しがたい。ルメール以外乗せたくないんだろうけど、チャンピオンホースが特定の騎手が乗らないというだけで最高賞金レースをあっさり回避してアーモンドアイとの対決から逃げるようでは、現場の人たちがいくら頑張ったって競馬人気が復活するはずもない。